日本オラクルは2月10日、同社のソリューションを活用したファイントゥデイ、UCCグループのAIエージェントの取り組みに関する説明会を開催した。

日本オラクル 理事 クラウド・アプリケーション事業統括 アプリケーション・ソリューション戦略統括 インダストリー&事業戦略本部 本部長 中山耕一郎氏は、同社のAIエージェントについて、次のように説明した。

「オラクルはインフラ、データベース、アプリケーションのすべてのレイヤーでクラウドを提供しており、すべてのレイヤーにAIエージェントを搭載している」

  • 日本オラクル 理事 クラウド・アプリケーション事業統括 アプリケーション・ソリューション戦略統括 インダストリー&事業戦略本部 本部長 中山耕一郎氏

    日本オラクル 理事 クラウド・アプリケーション事業統括 アプリケーション・ソリューション戦略統括 インダストリー&事業戦略本部 本部長 中山耕一郎氏

さらに、中山氏は「特に強調したいのはネイティブにビジネスプロセスにAIエージェントを組み込んでいる点」と述べた。同氏は、「他社はデータをAI用に用意する必要があるが、オラクルはそれが不要であり、この点をネイティブといっている」と述べた。

ファイントゥデイ:全領域でAIエージェント実装の可能性を確信

ファイントゥデイは、開発・製造・販売のE2Eを支える基幹システムとして、Oracle Fusion Cloud Applicationsをグローバル1インスタンスで導入、サプライチェーンなどミッションクリティカルな領域でも活用している。

同社は2021年7月に事業を開始、その後1年強かけて、2023年1月にOracle Fusion Cloud Applicationsをカットオーバーした。2025年にかけては安定化と改善を図ってきたが、Oracle Fusion CloudにOracle AI Agent Studioが組み込まれ、ユーザー自身でエージェントを開発できる環境に進化したことが転機となった。

「Oracle AI Agent Studio」はオラクル開発部門が利用する同じツールで、ユーザーやパートナーがAIエージェントを作成・拡張可能することを実現する。つまり、AI Agent Studioにより、企業が利用するプロダクトが持つ品質のAIエージェントをつくることが可能になる。

ファイントゥデイ IT本部 BITA1部 Vice Presidentの小室英彦氏は、「AI Agent Studioが組み込まれたことで、システムがAIレディな状態になった。これはサービスインテグレーションの利点」と述べた。

  • ファイントゥデイ IT本部 BITA1部 Vice President 小室英彦氏

    ファイントゥデイ IT本部 BITA1部 Vice President 小室英彦氏

同社は昨年8月にSCMの交流会でOracle AI Agentのデモを初めて見て、ユーザー自身で開発可能な段階へ移行したことを実感し、情報収集を開始したという。12月に簡易的なエージェントを開発できる体制を構築、今年1月には実業務をアシスタントするエージェントの開発段階に移行した。

PoCの取り組みと成果

PoCのレベル1では、データ照会や登録を行う簡易的なエージェントを4種開発した。IT本部 BITA 1部 マネージャーの槙智史氏は、定量的な効果について「標準画面操作と比べて作業時間を短縮できる可能性を確認した」と語った。加えて、帳票に変わる効率的な情報参照手段としての可能性を確認し、エージェントを適用できる余地がある業務プロセスを4領域特定したという。

ただし、「レベル1は自社だけで行ったので情報が不足していた、壁を超えるのが難しい状況だった」と槙氏は述べた。

現在はレベル2として、調達・購買業務)に関する一連の業務を支援するエージェントを開発し、下期に予定しているレベル3の準備を進めている。槙氏は「レベル2は高速で到達できた。レベル4では領域を特定せずに自動化することを目的としているが、本当の意味でもエージェントを実装できるのではないかと考えている」と語っていた。

  • ファイントゥデイにおけるAIエージェント導入のPoCのロードマップ

    ファイントゥデイにおけるAIエージェント導入のPoCのロードマップ

  • ファイントゥデイにおけるAIエージェント導入のPoCの実施内容と成果

    ファイントゥデイにおけるAIエージェント導入のPoCの実施内容と成果

UCCグループ:購買領域でAIエージェントの有効性を確認

続いて、ユーコット・インフォテクノ ビジネスデザイン&ソリューション本部 マネージャーの馬場滉也氏が、UCCグループのAIエージェント導入について説明を行った。同社は、UCCグループのIT統括・システム開発を担っている。

  • ユーコット・インフォテクノ ビジネスデザイン&ソリューション本部 マネージャー 馬場滉也氏

    ユーコット・インフォテクノ ビジネスデザイン&ソリューション本部 マネージャー 馬場滉也氏

馬場氏はAI Agent Studioを利用しようと考えた背景について、次のように説明した。

「担当者のスキルの違いによって業務の処理品質やスピードにバラツキがあるところ、AIによって、誰でも一定品質で業務が進められる状態を作りたかった。また、入力照合などの属人化している判断や例外処理の前処理をAIが行うことで、業務プロセスが円滑に進むのではないかと考えた」

そこで、UCCグループでは、現場で使えるエンタープライズAIの実装を目指すことにしたという。具体的には、現場の担当者とやり取りしながら、フィードバックを反映し、AIエージェントの導入を進めている。

また、馬場氏は「AIの導入により業務プロセスが変わるので、役割を再設計することが重要と考えている」と語った。ここは、企業によって再設計の内容が変わってくるだろう。

  • UCCグループのAIエージェント導入におけるビジョン

    UCCグループのAIエージェント導入におけるビジョン

PoCの成果とロードマップ

フェーズ1では導入効果を検証するため、購買領域にAIエージェントを導入。購買プロセス全体にAIが伴走し、見積・発注・受入・支払までを連続的に支援。業務の生産性と調達品質を同時に高める仕組みを整備する。

具体的には、自然言語ベースで 発注やオペレーションを行ってくれるエージェントを開発。馬場氏は、エージェントによって「確認するプロセスがなくなり、ERPの画面を使わなくてもチャットベースでやり取りできるので、業務のタイムラグが削減されるのではないかと考えている」と述べた。

フェーズ1でAIエージェントの有効性を確認し、これからPDFファイルの読み取り、発注アラート機能などに取り組むという。

  • UCCグループのAIエージェント導入のロードマップ

    UCCグループのAIエージェント導入のロードマップ

ユーザー企業、オラクル、パートナーによる合同勉強会がカギ

ファイントゥデイの槙氏が、PoCのレベル1で「ユーザー同士の連携・共創が重要であることを痛感した」と語っていたが、今回のファイントゥデイとUCCグループの取り組みの特徴は、ユーザー企業、オラクル、パートナー、先進ユーザーによる合同勉強会にある。

ユーザー企業としては、自社だけの取り組みでは技術や知識が不足しているところ、パートナーや先進ユーザーのノウハウを活用することで、スピード感をもってAIエージェントの実装を進められたという。

ユーコット・インフォテクノの馬場氏も「勉強会により、ユーザー企業ならではの課題共有 最新情報のキャッチアップでき、現場で使われるAIエージェントができるのではないかと考えられた」と語っていた。

一方、勉強会に参加したパートナーである中本・アンド・アソシエイツの執行役員 小西明宏氏は、「これまではパートナーが先行してノウハウを蓄積していたが、AIエージェントに関してはこれまでのやり方では間に合わない。AIエージェントは技術の垣根が下がっているので、ユーザーも取り組めるので、ユーザーの共同活動が有意義」と、勉強会の有用性を説明した。

  • 中本・アンド・アソシエイツ 執行役員 小西明宏氏

    中本・アンド・アソシエイツ 執行役員 小西明宏氏