日立製作所、富士通、NECの3社は1月29日、それぞれ2026年度第3四半期の決算を発表した。各社とも主要事業が堅調に推移し、収益性の改善や通期見通しを上方修正している。

日立はエナジーとLumadaがけん引

最初は日立の決算から見ていこう。同社の第3四半期における売上収益は前年同期比10%増の2兆7143億円、Adj.EBITA(Adjusted Earnings Before Interest, Taxes, and Amortization:調整後の利払い前・税引き前・減価償却前利益)は同644億円増の3462億円、コアフリーキャッシュフロー(コアFCF)は2891億円と第3四半期としては、いずれも過去最高値を達成した。

  • 日立製作所の第3四半期における業績ハイライト

    日立製作所の第3四半期における業績ハイライト

要因としては、日立製作所 代表執行役 執行役専務 CFO兼財務統括本部長兼財務統括本部財務本部長兼CRMOの加藤知巳氏は「好調が続くエナジー領域に加え、モビリティやDSS(デジタルシステム&サービス)セクターも堅調に成長した」と述べている。

  • 日立製作所 代表執行役 執行役専務 CFO兼財務統括本部長兼財務統括本部財務本部長兼CRMOの加藤知巳氏

    日立製作所 代表執行役 執行役専務 CFO兼財務統括本部長兼財務統括本部財務本部長兼CRMOの加藤知巳氏

売上収益とAdj. EBITAは3Qとして過去最高を達成したことに加え、コアFCFの面ではエナジーの前受金による影響で834億円の大幅増加となり、こちらも過去最高となった。

事業セグメント別でみると、送電網設備に対する堅調な需要継続と受注残の着実な売り上げ転換が続くパワーグリッド事業が牽引するエナジーセグメントは、前年同期比で33%増。モビリティは、為替影響に加えてLumada事業を含む鉄道信号システム事業を中心に好調に推移し、同14%の増収となった。

一方、前年比3%増の増収となったDSSセグメントについては、DX(デジタルトランスフォーメーション)/モダナイゼーション需要によるフロント・ITサービスが好調に推移。ストレージ事業については、従来から進める構造改革の推進でコスト削減が進んでおり、収益性が改善されたとする。

また、CIセグメントでは前年のインダストリアルデジタル大口案件の反動減により減収となったものの、Lumada事業の拡大もあり利益自体は増益。通期では売上収益200億円・Adj. EBITA70億円に上方修正している。

全社レベルで推進しているLumada事業については、売上収益が前年同期比51%増の1兆1140億円まで拡大し、日立連結の業績改善を牽引しているとする。特にエナジー・モビリティ・CIの領域では、HMAXやAI技術などを活用した欧米各国での事例が拡大していることから、今後も強化し、各セクターでの継続的・安定的な収益基盤を構築していく方針だ。

同社の平均的な利益率から遅れをとっているストレージ事業などについては、引き続き構造改革を続け、外部企業とのパートナリングなども強化していくことで全社平均程度の数字まで引き上げることを目指す。

好調な決算を受け、通期の見通しについてはパワーグリッド事業が好調なエナジーに加え、モビリティ、CIも含めてグループ全体で上方修正している。売上収益は従来比2000億円増の10兆5000億円、Adj.EBITAが同500億円増の1兆2600億円、当期利益が同100億円増の7600億円、コアFCFが同2000億円増の1兆円にそれぞれ修正した。

富士通はサービスソリューションの成長が加速、営業利益は過去最高

次は富士通の決算だ。連結合計の売上収益は前年同期比1.8%増の2兆4511億円、調整後営業利益は同920億円増の2291億円、当期利益も前年から2556億円増加し、過去最高の3436億円となった。全セグメントで増益となり、営業利益と当期利益がいずれも過去最高となった。

  • 富士通における9カ月累計の事業別セグメントの業績

    富士通における9カ月累計の事業別セグメントの業績

富士通 代表取締役副社長 CFOの磯部武司氏は「第3四半期は増収幅・増益幅が共に上期のペースからもう一段拡大した。特にサービスソリューションの国内ビジネスはDXやモダナイゼーションの需要が引き続き強い」と述べている。

  • 富士通 代表取締役副社長 CFOの磯部武司氏

    富士通 代表取締役副社長 CFOの磯部武司氏

サービスソリューションセグメントの売上収益は、9カ月累計で前年同期比946億円(6.1%)増の1兆6577億円。前年度に実施したコンタクトセンター事業の売却を除くと、7.5%増だ。国内市場を中心にDXやモダナイゼーションの商談が伸長した。

調整後営業利益は545億円(33.8%)増の2161億円となり、増収効果に加え、採算性の改善も進捗し、過去最高益を記録している。内訳は増収効果による利益増加が346億円、開発プロセスの標準化や自動化など採算性の改善による利益増加が311億円となり、Uvanceオファリングやモダナイゼーション、コンサルティングへの投資が112億円拡大したが、最終的に前年同期比13.0%増の2161億円で着地。

サービスソリューションにおける国内の受注状況は、エンタープライズビジネス(産業・流通・小売)が前年同期比100%、ファイナンスビジネス(金融・保険)は同95%。パブリック&ヘルスケア(官公庁・自治体・医療)は第2四半期に公共向けの大型システム更新案件を獲得して同104%、ミッションクリティカル・ナショナルセキュリティ業界では、ナショナルセキュリティの大型案件を受注し同125%となった。

サービスソリューションセグメントにおいて流通は底堅く推移したが、製造業では拡大基調での推移。ただし、先行きの不透明さからIT投資を一部縮小する企業も見られたという。国内サービスソリューションの年間売上計画である1兆8000億円に対し、売上実績は1兆2401億円、受注残高は4171億円となり、第4四半期中に1426億円の獲得が必要となる。

また、サービスソリューションセグメントを支える柱の一つであるUvanceは、9カ月累計の受注高が前年同期比45%増の5048億円、売上収益は同53%増の4927億円だった。内訳は、Vertical(社会課題を解決するクロスインダストリーの4分野)が同77%増の2025億円、Horizontal(クロスインダストリーを支える3つのテクノロジー基盤)が同40%増の2902億円。サービスソリューション全体に占めるUvanceの売上構成比は、前年の21%から30%まで拡大し、2025年度の売上計画7000億円に対して、目標達成の確度は高いという。

サービスソリューションのもう一つの柱であるモダナイゼーションは、9カ月累計の受注高が前年同期比6%減の2604億円、売上収益は同43%増の2665億円となり、受注減の要因は前年度に獲得した大型案件の反動によるものと説明している。

一方、ハードウェアソリューションセグメントの売上収益は、前年同期比399億円(5.6%)減の6729億円となり、付加価値の小さな他社製ソフトウェアの売上計上を総額から純額へ変更した影響を除くと前年並みとなっている。コストの効率化により利益面は改善され、調整後営業利益は同229億円増の370億円となった。

さらに、ユビキタスソリューションセグメントの売上収益は、前年同期比35億円(1.9%)減の1779億円。高付加価値商品へのシフトやコスト改善により、調整後営業利益は111億円(54.6%)増の314億円となっている。

こうした決算状況を背景に、同社では連結の通期業績見通しを上方修正している。売上収益は従来比800億円増の3兆5300億円、調整後営業利益は同200億円増の3800億円、調整後当期利益は同250億円増の2750億円にそれぞれ修正している。

NECは国内ITとANSがけん引

最後はNECの決算。売上収益は前年同期比4.3%増の2兆4223億円、調整後営業利益は同558億円増の2060億円、Non-GAAP営業利益は同475億円増の2099億円となった。

  • NECにおける第3四半期主要指標

    NECにおける第3四半期主要指標

NEC 取締役 代表執行役 Corporate EVP兼CFOの藤川修氏は決算のポイントとして「国内ITとANS(航空宇宙・防衛)が引き続き好調に推移した。また、テレコムサービスで将来の収益構造改善のための費用を第3四半期に計上した。その結果、2025年度9カ月累計の実績は前年同期比4.3%増、Non-GAAP営業利益は同475億円増となり、業績進捗を考慮して通期業績予想を修正した」と話した。

  • NEC 取締役 代表執行役 Corporate EVP兼CFOの藤川修氏

    NEC 取締役 代表執行役 Corporate EVP兼CFOの藤川修氏

セグメント別に見ると、国内のITサービスは、前期に続いてパブリックが増収を牽引(非継続事業を除くと+8%)。さらに、BluStellarによる収益性向上、子会社構造改革効果、売上増などにより大幅な増益となった。第3四半期の累計の売上収益は、前年同期比2.9%増の1兆4728億円、調整後営業利益は同630億円増の1705億円となっている。

好調の要因を牽引しているBluStellarは、シナリオビジネスが順調に拡大。データドリブン、モダナイゼーション領域が好調を維持しており、特に製造業、金融業を中心にシナリオ導入が進められているという。一方の海外のITサービスについては、Avaloqの収益性向上、前年度の一過性費用を計上した。

社会インフラセグメントでは、テレコムサービスにおいて、前年度一過性利益の剥落、将来の収益構造改善のための費用計上により減益する結果となった。一方のAerospace and National Security(ANS)では、航空宇宙・防衛の好調に加え、海洋における前年度の一過性費用が消滅し、増益となった。

テレコムサービスにおいては、ビジネスユニットを解消して再編することが発表されたほか、基地局既存事業の終息を決定した。

通期の業績見通しに関しては、業績進捗を考慮して業績予想が引き上げられた。売上収益は従来比3400億円増の3兆5600億円、調整後営業利益は同100億円増の3400億円、Non-GAAP営業利益は同200億円増の3600億円にそれぞれ上方修正した。

セグメント別では、ITサービスの売上収益は従来比700億円増の2兆4700億円、調整後営業利益は同100億円増の3310億円と大幅な上方修正が行われたほか、社会インフラセグメントにおいても売上収益の同700億円増の9550億円に修正している。

3社の決算はいずれも主要事業が堅調に推移し、重点分野が収益を押し上げる結果となった。国内外で事業環境の変化が続くなか、3社の収益基盤が今後の成長戦略にどのようにつながるかが注目される。