失敗を恐れず・・・ 【私の雑記帳】

加賀見俊夫さんの覚悟

「失敗は成功のもと、という気持ちでわたしたちは経営をやってきております」と語るのは、オリエンタルランド取締役会議長の加賀見俊夫さん(1936年=昭和11年生まれ)。

 同社が東京ディズニーランドを開設したのは1983年(昭和58年)。それから42年余が経つ。

「開業当初と今とでは、お客様も随分変わってきています。その変わったものをどうやって吸収するかというので、テーマパークにしても、アトラクションにしても、そういうニーズを汲むために、少しずつTDL(東京ディズニーランド)のほうも変えてきています」

 同社がここまで成長、発展してきたのも、自分たちを変革させてきたという加賀見さんのこうした考えがあったからだ。つまり、企業が持続的成長を図るには、変化・変革が大事だということ。

 TDLの開業から18年後に東京ディズニーシーを開園。こちらは、シー(Sea、海)をテーマにしているが、TDL開設を支援してきた米国のディズニー社は大反対であった。本家本元には、『海』というテーマはなく、「認められない」と言ってきたのである。

 日本は海洋国家で、海の恵みと共に生きてきた。同社は、ディズニーのライセンシーを受けている立場だが、『海』をテーマにしたテーマパークは、お客様のためにも、また自分たちの成長にとっても必要であると、米ディズニー社を説得。

 こうしてTDLとTDSを二本柱に事業を成長、発展させてきた。

 加賀見さんは、開業42年余を振り返って、「日本経済が製造業中心から、ソフト化・サービス化に移り変わる時でした。こんな事業が成功するのかというのが当時の一般の声でした」と述懐。

 京成電鉄の子会社として出発した同社をここまで大きな存在にしたのは、事実上の創業者である高橋政知さん(1913―2000)と加賀見さんのコンビ。千葉・浦安沖の埋め立て地をテーマパークにするために、地元漁業関係者の説得から仕事は始まった。「親子ほどの年の差」の2人が力を合わせて一つの目標に向かった結果でもある。

〝人と人のつながり〟ほど素晴らしいものはない。

冨山和彦の【わたしの一冊】『東大生に教える日本史』