Windows Centralは2026年1月19日(米国時間)、「The era of Photoshop may be over, as Adobe stock takes a battering chart decreasing|Windows Central」において、生成AIがもたらすSaaS企業への影響を解説した。
近年はAdobeやSalesforceなどの従来型SaaS企業の市場における苦戦が鮮明になりつつある。原因の1つとしてAIによる産業構造の変革が指摘されており、ビジネスモデルを再考する動きがみられるという。
AIがもたらす従来型SaaS企業の苦境
Adobe(アドビ)は1982年に設立された米国に拠点を置く老舗のソフトウェア企業だ。PhotoshopやAcrobat Readerなどの製品で知られ、他に代えがたい機能などを製品に投入することで高価格帯の製品群にもかかわらずシェアを伸ばしてきた。
特に、写真加工やイラスト制作などの分野ではプロからアマチュアまで幅広いユーザーに利用されており、なくてはならない存在とされる。ところが生成AIの登場以降、その存在が脅かされ始めたという。
生成AIはチャットのみならず、画像、音声、動画の生成にも対応する。特徴を伝えるだけで写実的な画像や特色のあるイラストなどを複数生成、提案し、さらに改善まで指示することができる。
プロのイラストレーターに依頼した場合は時間と費用を要するが、生成AIであれば十数秒程度かつ安価に生成できる。改善の依頼にも即座に応答する優秀さだ。
品質面でみればプロの作品に軍配が上がることは事実。しかしながら、Windows Centralによると近年は大企業もAI技術を活用し、高価格のサブスクリプション料金を支払う必要が減少しているという。
プロへの依頼が減少すればプロが使用するソフトウェア製品の販売にも影響し、売り上げの減少につながることは必然。投資家もこの傾向を感じ取っており、現実の株価に影響が出始めている。
世界的な潮流はAIへ、されど勝者にはなれない理由
短期的には株価の下落傾向がみられるMicrosoftも長期的には増加している。AIの影響だけとは限らないが、3年前との比較で株価はおおよそ倍に上昇。AI技術の進歩が目覚ましいGoogle(Alphabet)に至っては、3年で約3倍の上昇だ。
これは現実で起きているAI導入の動きが影響している。Windows CentralによるとMicrosoft 365 Copilot(AI搭載のビジネスツール)などは、国家レベルで急速な普及が進んでおり、大企業の多くがワークフローやドキュメント生成などの自動化技術として支持しているという。
一方でAI導入が遅れている企業や、AIに仕事を奪われる企業の評価は下落。さらに米国に端を発する国際情勢を踏まえデータ主権への懸念が表面化したことで、テクノロジーへの投資を再考せざるを得ない状況も後押しとなった。
Microsoftが直近の株価下落を受けてなおAI統合を急ぐ理由は、これら世界的な潮流にあるとみられる。AI時代におけるソフトウェア企業の生き残りには、技術革新への柔軟な対応が欠かせない。従来の枠組みに固執する企業は市場の変化に取り残される危険が高まる一方、AIを積極的に取り込み、新しい価値を創出する企業は再評価される可能性がある。
しかしながら、Windows Centralは「従来のソフトウェアサービスと古き良き人間の創造性」が最終的な勝者になると予想。世界的な潮流に真っ向から反対する意見を伝えている。これには過去に伝えてきたAI企業の苦境、AI技術の課題、収益に結び付かないAIサービスの現状などが背景にある。
最近の株価の流れは、AI開発をリードする企業およびAIの活用に成功した企業に向かっている。最終的な答え合わせは数年後になるとみられるが、AIがもたらす産業構造の変革に今後も注目していきたい。
