Neowinは1月20日(米国時間)、「Nadella warns AI needs to prove itself useful, three weeks after telling critics to move on - Neowin」において、Microsoftの最高経営責任者(CEO: Chief Executive Officer)を務めるSatya Nadella氏がAI業界の現状に強い懸念を示したと報じた。

スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムの講演で、ナデラ氏がそう語ったようだ。同氏は「AI企業が自社技術の有用性を示せず、なおかつ莫大な資源を消費し続ける場合、危険な領域に足を踏み入れる可能性がある」と述べ、AI技術によって生み出される利益をユーザーに提供できなければ世論の支持を失う可能性があると警告したという。

AI普及とユーザー利益の乖離

同氏は次のように続けている。 「私たちグローバルコミュニティはこの技術(AI)を使って人々やコミュニティ、国や産業の未来を変える有益なことを成し遂げる段階に到達しなければならない。そうでなければ、あまり意味がないと思う。希少資源のエネルギーなどを消費してトークンの生成に消費する、といった使い方は社会的な同意さえすぐに失うでしょう」

MicrosoftがWindows全体にAI機能を統合してきた流れを踏まえると、今回の発言は興味深い。エクスプローラーやペイント、メモ帳などにAIを組み込んだが、明確な価値を提供できたとは言い難い。Windowsユーザーからは不満の声が聞かれ、一部からは“Microslop”などと揶揄される状況にある(参考:「Windows 11ユーザーが生んだ、Microsoftを揶揄する新造語「Microslop」とは | TECH+(テックプラス)」)。

AI機能の押し売りに対する反発は強まり、Microsoftの戦略全体に疑問が投げかけられている。同氏の警告は、Microsoft自身の取り組みにも当てはまる内容であり、価値があるかどうかをAI企業自ら再点検する必要性を示している。企業がAI導入を急ぐだけでは、社会的な支持を維持できない可能性がある。

AIが社会的支持を得るための条件

今回の発言はAI業界が抱える課題を浮き彫りにし、技術の普及が目的化する場合のリスクを訴えている。AI開発の現場では電力不足やPCパーツの価格高騰をもたらすほどの資源が投入されており、これに見合うだけの成果が伴わなければ信頼を損なう恐れがある。企業は導入の速度よりも、利用者にとっての実益を示す姿勢が求められる。

この課題はMicrosoft自身の戦略再考を促す可能性がある。技術の普及を急ぐだけでは不十分であり、実用性を証明する今後の業界の取り組みが、AIの方向性を左右するとみられる。