
政府は26年度の診療報酬改定で医師らの人件費などに当たる「本体」部分を3.09%引き上げる方針を決めた。24年度の前回改定の0.88%を大きく上回り、物価高騰の中で経営に苦しむ医療機関を支援する。
上げ幅が3%台となるのは、3.4%だった1996年度以来30年ぶり。高市早苗首相と片山さつき財務相、上野賢一郎厚生労働相が首相官邸で協議し、厚労相の提案内容で決着した。
上野賢一郎・厚労相
診療報酬は、診察や手術など公的医療保険が適用されるサービスの価格。本体と「薬価」で構成される。医療機関の主な収入源で、2年に1度見直す仕組み。近年の物価高や賃上げに多くの医療機関が対応できず、日本医師会をはじめ、関係団体が本体部分の大幅な引き上げを求めていた。
診療報酬の引き上げは保険料や窓口負担の増大に直結する。26年度の国民医療費は高齢化や医療費高度化で50兆円程度と見込まれる。単純計算で1%の上げ幅で5千億円の医療費が増えるので、3%だと約1兆5千億円上振れすることになる。厚生労働省幹部は「過去2年の賃上げで保険料収入も伸びている分を考慮すると、実質的にはそれほど大きな上げ幅ではない」と説明する。
本体の引き上げ率3.09%の内訳は、賃上げ対応に1.70%、物価対応は1.29%を充てる。医療の高度化など、通常の改定分を0.25%とした一方、外来診療や調剤報酬の適正化を0.15%引き下げて財源を捻出する。
報酬改定に当たり、財務省は医療費削減のため本体の引き上げ幅を1.5%に抑えるべきと主張した。同省主計局幹部は決着後でも「厚労省の主張する3%上げの積算には二重計上が含まれている」と不満顔だ。
近年、診療報酬改定は財務、厚労両省間の折衝でも収拾が付かず、首相裁定となることが多い。官邸幹部は「首相が積極財政を掲げているとはいえ、厚労省の言い値通りに決まるのは異例だ」と驚いていた。
