Terra Drone(テラドローン)は1月19日、宮城県石巻市とクマ出没時の被害防止に関する協定を結ぶ企業に対し、自社開発の「クマよけスプレー搭載ドローン」の提供および運用支援を開始したことを発表した。
人身被害が増加する一方で、ハンターの減少や、警察・自衛隊など既存の関係機関によるクマ対策の制約により、対応体制の強化や地域社会の安全確保が課題となっている。人を介さず遠隔からドローンを活用してクマを追い払う即効性の高い現実的な解決策として、全国の自治体への展開を目指すという。
自治体・地域事業者へのモデルケースとして展開
テラドローンは今回の取り組みを通じて、宮城県石巻市と協定締結企業が連携する現場対応を支援し、記録的なクマの出没が相次ぐ地域において、人力ではカバーしきれない部分を補完する安全な対応体制の構築に貢献する。
具体的には、石巻市内の測量事業者で、石巻市と既に協定を結んでいる佐藤土木測量設計事務所が「クマよけスプレー搭載ドローン」の操縦と運用を担当。石巻市との協定に基づき現場での対応を迅速に実施する。
深刻化する課題と「第三のクマ対策」の必要性
2025年は東北地方をはじめ、全国各地でクマの人身被害および市街地付近での出没が記録的な水準に達している。環境省によると出没件数は2021年から163%増加し、全国で2万792件、4月以降の負傷者が100人、死者が12人を超えるなど、高い水準で推移している。
こうした緊急事態の中、クマの捕獲や追い払いを担う全国のハンター(狩猟免許所持者)は、1975年度には約52万人いたのに対し、2020年度には22万人ほどまで減少している。特に、60歳以上が6割近くを占めており、高齢化も深刻。
また、警察や自衛隊といった既存の関係機関は、野生動物への致傷訓練に任務上の制約を抱えており、迅速な現場投入が困難とされる。地上からの追い払いは、オペレーター自身がクマと直接対峙する危険を伴う。
クマ対策におけるドローン活用の有用性
これらの背景を踏まえ、テラドローンは2025年11月、既存の対応の枠組みを空から補完および強化し、民間による迅速性・安全性・即効性を兼ね備えた対策を実現するため、クマよけスプレーを搭載したドローンを開発した。
テラドローンが提供するクマよけスプレー搭載ドローンを用いることで、地上からクマに接近することなく、約500メートル~1キロメートル離れた場所から上空より遠隔操作でスプレーを噴射できる。これにより、オペレーターの安全を確保する。
ドローンは即座に現場へ展開可能であり、クマ出没に有効性が証明されているトウガラシ由来のスプレーをピンポイントで噴射。人の数千倍の嗅覚を持つとされるクマに対し、一時的な退避時間を確保する即効性の高い追い払いを可能とする。
