【2026年をどう占いますか?】 答える人 ファーストリテイリング会長兼社長・柳井正

ピンチこそがチャンス!

 ─ ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さん、米中対立など、世界中が混沌とする中で、どのように経営のかじ取りをしていますか。

 柳井 私はピンチこそがチャンスだと思うんです。人間ピンチのときは、そこから逃げることばかり考えがちですが、ピンチをチャンスに変えるためにはどうしたらいいのか? ということを、もっと考えなければならないと思います。

 ─ 「一勝九敗」が柳井さんの持論ですが、ピンチをいかに乗り越えるか。例え、九回失敗しても次の一回で勝とうと。

 柳井 ええ。だから、失敗をどのように考えるかじゃないですか。それも考えるだけではダメで、考えて、準備して、計画し、それが上手くいかないのであれば、また考えて、準備して、計画して、実行する。その繰り返しですよ。でも、ほとんどの人は実行しないんです。検討ばかり、調整と分析ばかりでは、何も前に進みません。

 ─ 柳井さんは、もともと中国の郷鎮企業と組んで事業を始めましたよね。世界に打って出るには信頼できるパートナーと連携していくと。

 柳井 彼らの方が日本の企業よりもグローバルですよ。世界中に行こうとして、世界中で商売をやっていますから。お互いに世界中で商売をしようとして、努力し、ここまで来たということだと思います。私は国籍に関係なく、信頼できる経営者と現場の責任者に出会い、取引する以上は、お互いのことを優先してビジネスをしましょう、というのが基本だと思います。

 そのためには、相手にきちんと要求しないといけない。日本人同士であれば、あうんの呼吸でモノをはっきり伝えなくても仕事ができるかもしれませんが、海外で仕事をする以上、相手に言葉ではっきり言わない限り、伝わりません。ですから、こちらから要求しない限り、返ってきませんよね。そうやってお互いに努力し、相手にも自分にも良いようにやっていくことが大事です。

 今は世界中で対立や紛争が起こっていますが、共存共栄が基本です。企業は世界が平和になるための活動をやっていくことが一番大事だと思いますし、われわれはそれぞれの国が成長し、平和で、生活の質が上がっていくような服を提供していきたいと考えています。

 ─ それが「LifeWear」(究極の普段着)というブランドコンセプトの根幹ですね。

 柳井 そうです。われわれは本当に良い服、新しい価値を持った服を提供したいと思っていて、それを世界中で展開していく。そういう業態というのはあまりないので、日本発のグローバル企業として、世界中で事業を展開したいと思っています。

【著者に聞く】『エネルギーの地政学』 日本エネルギー経済研究所 専務理事・小山 堅