【2026年をどう占いますか?】 答える人 三井物産会長・安永竜夫

日本はグローバルサウスとの連携を強化すべき

 ─ 三井物産会長の安永竜夫さん、米中対立やウクライナ戦争などがある中で、26年の世界経済をどう予測しますか。

 安永 トランプ米政権が誕生してどうなることかと思っていましたが、今のところ、関税措置による世界経済への影響は限定的です。各国政府が早めに関税問題の解決に動き、金融・経済政策を柔軟に切り替えてきたことによって、世界経済のレジリエンス(強靭性)はある程度機能したのかなと思います。

 ただ、今までの世界経済はグローバライゼーションの進展により、ボーダーレスに最適なサプライチェーン(供給網)を構築し、発展してきました。それが米中対立の中、ボーダーのある世界になると、コスト増やインフレの影響が遅効性を持って現れる可能性が高く、分断と不確実性が高まっているのは間違いありません。

 とはいえ、どの国も単独でサプライチェーンを完結させることは困難です。サプライチェーンはライク・マインデッド・カントリーズ(同志国)の中で再構築するしかありません。

 商社としては、米国国内だけでプロジェクトや事業の全てを完結できないことを、個別案件を通じて米国側へ説明していくしかないと思っています。

 ─ 中国経済に関しては、どのように見ていますか。

 安永 中国経済の成長が減速し、供給過多の問題をずっと抱えている。また、自動化や無人化・省人化を進めており、逆に雇用が増えないという問題も出ています。

 中国国内ではかつてほど政府の経済刺激策も効かなくなっている一方で、太陽光パネルにしても、バッテリーやEV(電気自動車)にしても、過当競争に勝った企業はものすごい競争力を持っている。だから中国の中で、競争力があり、経済安全保障上の問題の無い分野については、うまく活用することを考えていかないといけないと思います。

 日中関係は一衣帯水の関係にあると思っていますし、離れられない隣国ですので、経済人同士がしっかりと手を握っておくことが大切です。

 ─ 引っ越しのできない日中関係ですからね。

 安永 そうですね。日本は今後、米中をブロック化させないための努力をすべきだと思いますし、同時にグローバルサウス(新興・途上国)をはじめとした同志国との連携を強化していくべきです。

 特に経済成長の著しいインドやASEAN、中南米を徹底して日本の仲間にしていかなければなりません。

 インドをインド太平洋地域の重要な生産拠点として再定義する方向で、モディ首相と協議しました。また、ブラジルを中心としたメルコスール(南米南部共同市場)地域との経済連携協定(EPA)の締結を、日本政府に強く望みたいと思います。

【著者に聞く】『エネルギーの地政学』 日本エネルギー経済研究所 専務理事・小山 堅