
総合エネルギー企業を目指して
─ 東京ガス社長の笹山晋一さん、世界が混迷を極める中で、足元のエネルギーの安定供給と将来的な脱炭素化のバランスをどのように考えていますか。
笹山 トランプ関税の影響やウクライナ、中東での戦争など、引き続き地政学リスクがあり、先行きの不確実性やエネルギー価格のボラティリティ(変動)が増しているのは事実です。そうした中にあっても、再生可能エネルギーの比重は間違いなく高まっていますし、長期的に脱炭素社会の実現に向かっていくことは間違いありません。
われわれも短期的には足元のインフレ対策などを踏まえて、経済性も担保しながら、エネルギーの安定供給に努め、中長期的なカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)の実現を目指していこうと考えています。
─ 脱炭素社会の実現に向けては、水素と二酸化炭素でつくる合成メタン(e-メタン)の開発も進んでいますね。
笹山 現在は横浜・鶴見の施設でe-メタンの実証試験を始めていますし、カナダでも新たに開発を進める予定です。
われわれは現在の都市ガスの原料である天然ガスを、e-メタンに置き換えることで、カーボンニュートラル化を目指しています。よくe-メタンはコストが高いのではないか? と言われますが、欧州では製造コストだけの議論になりがちです。ただ、水素をつくって、e-メタンをつくるコストよりも、水素を日本に運んできて、溜めておくコストが膨大にかかるわけです。
さらに、e-メタンは天然ガスと成分が同じなので、既存の設備が使えます。まだまだコストは高いですが、そこまでをトータルで考えると、e-メタンは現実的なソリューションではないかと考えています。
─ 26年は電力の全面自由化から10年となります。改めて、自由化時代の10年をどのように捉えていますか。
笹山 当社は総合エネルギー企業を目指していますが、ガスだけでなく、電気も提供できるということで、ガスや電気に関して、お客さまにより良いご提案ができるようになったと思っています。現在はガスで約880万件、電気で約420万件のお客さまがいらっしゃいますが、お客さまに選んでいただけるサービスやソリューションが増えたということで、大きな意味のあった10年だと思います。
当社は25年10月に創立140周年を迎えました。次の150年、200年に向けては、東京という枠を超えて全国や世界に、ガスという枠を超えて電力を含めた様々なソリューションをお届けしていく。そして、より総合的に様々なソリューションを提供できる企業になりたいと思っています。