富士通は1月14日、鉄鋼業界におけるグリーン鉄の価値流通に関する調査事業を2025年12月より開始したことを発表した。グリーン鉄とは、製造時の二酸化炭素排出量を従来の鉄よりも削減した鉄を指す。

この調査事業は、経済産業省が推進する「令和7年度産業関係調査等事業」の「サプライチェーン間での鋼材と紐付いたグリーン鉄情報の伝達に係る調査事業」に2025年11月に採択されたことを受け、実施する。

環境負荷低減の観点から近年注目が高まっているグリーン鉄について、富士通の二酸化炭素排出量削減素材に関する知見、およびブロックチェーン技術やデータ流通基盤に関する知見を活用し、グリーン鉄が持つ環境価値の真正性と取引の秘匿性を担保しながら、データを安全に流通させる。2025年12月から2026年2月まで実施予定。

事業の背景

鉄鋼は製造業や建設業などの多くの業界で使用される基本材料として流通されるが、鉄鋼業界では二酸化炭素排出量の削減が喫緊の課題となっている。業界団体が定めるガイドラインに則り、GXマスバランス方式やGXアロケーション方式によりグリーン鉄が生産されているものの、サプライチェーンの下流に至るまでは、環境価値の流通が十分には行われていない。

富士通はブロックチェーン技術を使った価値証明に関して実績を持ち、自動車業界などで浸透しつつあるデータスペース分野での相互運用性やトラストに関する知見を有する。今回の調査事業において、これらの実績や知見を活用し、日本の鉄鋼業界およびサプライチェーンの下流でのデータ流通を見据えた実証実験に取り組む。

調査事業の概要

今回の調査事業は、鉄鋼メーカーがグリーン鉄の製造を通して発行する削減証書などの環境価値が、複製や毀損により価値が増減することなく、サプライチェーンの上流から商社や需要家などの下流にわたって流通するための仕組みの検討と、その仕組みを適用した際に発生する、現在の商慣習や各事業者の業務上の課題を確認することを目的に実施される。

実証実験では、企業や業種を横断したデータのトレーサビリティを確保しGX(グリーントランスフォーメーション)の実現を支援する「Uvance」のオファリング「Sustainability Value Accelerator」を活用する。

データ流通基盤の環境を構築し、各鉄鋼メーカーの協力の元、第三者認証を取得した削減証書を流通させ、環境価値の一意性の担保、二重販売の防止、中間財業者を経た際や異なる商流を経由した際の価値の維持について検証する。

  • 環境価値流通のイメージ

    環境価値流通のイメージ