
インバウンドの好調は続くが 「地方分散化」は待ったなし
─ 都心の再開発だけでなく、地方活性化にも取り組むという喜㔟さんの意気込みがありましたが、25年は大阪・関西万博が成功しました。JTB会長で日本旅行業協会会長を務める髙橋広行さんの所感とは。
髙橋 前評判に反して結果的には大盛況で終了し、観光面でもかなり成果があったと受け止めています。来場者数では当初目標に届かなかったものの、国内の観光需要や海外からのインバウンド需要の両面でプラス効果があったと思います。
─ どう総括しますか。
髙橋 25年の旅行業界は斑模様でした。訪日インバウンドは過去最高を記録し、それをさらに上回る勢いで、訪日外国人数は4000万人を超え、旅行消費額も10兆円を超える可能性が高いです。一方で国内旅行については万博効果もあり、旅行消費額では前年を上回ったものの、宿泊者数が前年を割ったという歪な状況となりました。
旅行業界の最大の課題はアウトバウンド(日本人の海外旅行)です。前年比約14%増でしたが、コロナ前の19年比で7割程度にとどまっています。円安や世界的な旅行費用の高騰、個人旅行の手控え傾向が続いています。特にボリュームを占めるファミリー層の需要が停滞しています。
─ 需要喚起が必要ですね。
髙橋 パスポートの取得率も17%台と低いままなので、これをどう高めていくか。また、海外旅行マーケットをどう刺激していくかが重要です。我々の業界でも海外旅行促進に向け、「もっと!海外へ」というキャンペーンを展開しています。
─ 26年の見通しは?
髙橋 中国との関係性が非常に不透明で一番の懸念材料ですが、足元のインバウンドの伸びは円安効果に加え、日本の食やマンガ・アニメといったクールジャパンと言われるコンテンツへの人気がありますので、26年も訪日インバウンドは伸びていくと見込んでいます。
国内旅行は海外旅行からのシフト傾向もあり、堅調に推移するだろうと見ています。海外旅行については、完全復活を宣言するまでには若干時間を要するという見立てをしています。
─ オーバーツーリズムにはどう対応しますか。
髙橋 訪日インバウンドの宿泊者の約7割が東京・京都・大阪などの3大都市圏に集中し、他の地域に及んでいません。この地方分散化が最大の課題です。我々も国と連携しながら解決していかねばなりません。
そのためにも新たな観光ルートの開発や日本の地域に、まだ知られていない魅力的なコンテンツの磨き上げと発信が求められます。また、人手不足にも対応するために、一刻も早く観光DX化を進めていかないといけません。
それから地方空港の国際化も必要です。地方分散化は待ったなしですので、力を入れていきたいと思っています。