Windows Centralは1月2日(米国時間)、「Microsoft CEO wants you to stop calling AI "slop" in 2026|Windows Central」において、Microsoftの最高経営責任者(CEO: Chief Executive Officer)を務めるSatya Nadella氏が投稿した2026年の抱負について所感を伝えた。

同氏は投稿の中で2026年がAIにとって重要な年になり、初期段階から普及段階に移行することを明確にした。「世界に与える影響をいかに形作るか」と述べ、自らAI市場のイノベーターになる方針を示している。

この投稿に対し、Windows Centralは「OfficeやWindowsといったレガシー製品とその顧客こそがAIの基盤だ」と述べ、ニーズやフィードバックを無視した同氏の考えに異論を唱えている。

  • Microsoft CEO wants you to stop calling AI "slop" in 2026|Windows Central

    Microsoft CEO wants you to stop calling AI "slop" in 2026|Windows Central

CEOが主張するAIモデルの進歩と現実とのギャップ

AIモデルを基盤とするAI技術や製品は広く認知され、その利用は世界中で拡大を続けている。Nadella氏はこの状況を「スペクタクル(演出)段階を脱しつつある」と表現し、AIの素晴らしさを伝える段階から本格的な利用段階に入るとの考えを示している。

一方、Windows Centralは「依然としてミームや偽情報、幻覚、そして(潜在的に危険なほどの)ほぼ完全な収益性の欠如に支配されている」として、スペクタクル段階に留まり続けていると主張し、意見が対立している。

またNadella氏はAI技術を人間の能力を補う足場として捉え、人間を代替するものではないと述べている。しかしながら、現実には自動化による人員削減が進み、企業の効率化が優先されている側面が否めない。実際Microsoftは自社コードの30%がAIによって作られたことを明らかにした一方で、大規模なレイオフを実施している(参考:「Microsoftの大規模レイオフ、Nadella氏の決意はAI時代への挑戦 | TECH+(テックプラス)」)。

MicrosoftのAI戦略に利用者離れの懸念

Microsoftを取り巻くAI環境は期待と現実との間にギャップが見て取れる。しかしながら、Nadella氏はこの差を社会に受け入れさせることで解決する方針だ。「重要なのは特定のモデルの性能ではなく、人々がそれをどのように適用して目標を達成するかです」と述べ、人間がAIに適応して活用すればよいとの考えを明らかにした。

さらに、粗雑か洗練されているか(役に立つか立たないか)という議論を乗り越え、新たな均衡点を見出す製品設計が必要と述べている。まるでAIの可能性の否定したとも受け取れる発言だが、同時に「モデル能力の指数関数的な向上」と「高度な基盤構築段階に入った」ことを明らかにしており話に一貫性がない。

これら発言を矛盾なく解釈するのであれば、「成功分野での飛躍的な進化」と「課題克服の難しさ」を吐露したものと受け止めることができる。これはWindows Centralが指摘する問題点そのものだ。経営者や投資家は前者に注目して利益を追い求め、ユーザーは後者に注目しAIの押し付けに懸念を示している。

AIが企業の長期的な成長の柱となるには、基盤を支える利用者の満足度の向上が不可欠だ。現状では、AI統合が十分な価値を生み出していないとの評価が続いており、利益につなげるためにも課題の克服が急務と言える。しかしながら、2026年の抱負からは課題克服に向けた方針は示されていない。