
潜在成長率引き上げ、 科学技術立国に向けて
─ 経団連会長の筒井義信さんは政府の「日本成長戦略会議」のメンバーでもありますが、混沌期の日本の役割をどう考えていますか。
筒井 新政権が非常にスピード感を持って様々な政策を打ち出してきています。経済面では「強い経済をつくる」として「危機管理投資」「成長投資」「新技術立国」といった方針を掲げました。これは経団連の基本的な方向性と軌を一にするものです。
26年も政策課題は山積していますが、政治とは対話と連携をして臨んでいきたいですし、危機管理投資、成長投資も官民連携が基本だと思いますから、その視点から取り組みます。
─ 日本経済が抱える大きな課題をどのように捉えていますか。
筒井 潜在成長率です。現状は0.6%程度しかなく、これを1%台には上げていく必要があります。そのために必要なのは科学技術立国に向けてのイノベーションです。特に基礎研究力が世界の中でも劣後しつつある厳しい状況ですから、しっかり投資しなければなりません。
─ 高市政権は「責任ある積極財政」を掲げました。社会保障との関連も含めて、見解を聞かせてください。
筒井 成長分野への投資は中長期の問題ですから、それを複数年度の予算で見ていく必要があります。そして財政も中長期の観点から持続可能性を確保し、市場の信認を維持していくことを、総理も表明されています。
重要なのは社会保障制度改革です。給付と負担の構造の現状と今後について国民に「見える化」する形で議論しなければなりません。これについては総理が「国民会議」の創設を表明していますから、この議論に我々も積極的に関わっていければと思います。
─ 賃上げは進んできましたが、今後の取り組みは?
筒井 この3年間で賃上げの「力強いモメンタム」は強化されてきたと思います。23年が起点、24年が加速、25年が定着でしたが、26年は「さらなる定着」を訴求していきます。「人への投資」という意味で企業の社会的責務だというスタンスです。
─ 米トランプ政権とはどう向き合うべきだと?
筒井 世界がブロック経済化しつつありますが、日本は貿易・投資立国として、自由で開かれた国際秩序を世界で主張していく上で、リーダーシップを取るべき国です。WTO(世界貿易機関)の他、日本と主張を共にできる同志国もいますから、今後連携が必要です。
─ 中国とは微妙な問題が起きていますが、どんなスタンスで臨むべきだと考えますか。
筒井 日中関係はビジネス上も重要な2国間関係です。常に対話で問題解決することが重要ですし、様々な層で意思疎通していくことに尽きます。