日本商工会議所会頭・小林 健の「『強い経済』を実現するには、国内投資と国内消費を増やすことが大事」

GDPの約6割を占める 個人消費を増やすには?

 ─ いかに日本再生を図っていくのか。小林さんはどのように考えていますか。

 小林 先日、高市早苗首相にお会いした時にも申し上げましたが、高市首相が主張されている「強い経済」を実現するためには、国内投資と国内消費を増やすことが不可欠です。

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 この20年ほど、日本の大企業は多額の資金を海外に投資し、海外で収益を上げました。しかし、その収益が国内投資に十分に振り向けられず、主に海外で再投資される構造が続いてきた。その結果、日本国内への投資が細ってきたのです。

 国内投資でいうと、半導体分野ではTSMC(台湾積体電路製造)やラピダスが話題になりますが、それ以外にも日本企業がもっと地方に投資すべき余地は大きい。日本企業である以上、日本経済が疲弊しては困ります。グローバル化を否定することはできませんが、わが国が成長型経済へと移行し、地域経済の好循環を実現するためには、国内投資を一段と促す必要があります。そのための環境整備を政府に強く望みます。

 ─ 企業が国内投資をしやすい環境整備ですね。

 小林 日本再生に向け、もう一つ重要なのが、GDP(国内総生産)の約6割を占める個人消費を増やすことです。

 日本企業の99・7%、従業員数の約7割を占めるのは中小企業です。中小企業で働く人たちの懐が温まらなければ、個人消費は伸びませんし、個人消費が伸びなければ経済成長も望めません。賃金を引き上げ、経済を正のスパイラルに乗せていくことが不可欠です。

 ─ 賃上げと価格転嫁で経済の好循環を生み出そうということですね。

 小林 足元の物価上昇を上回る賃上げを実現するために何をしたらよいのかということを、産業界と政府が一体となって議論すべきだと考え、高市首相にもそう申し上げました。中小企業の賃上げには、生産性の向上と価格転嫁が不可欠です。

 混迷を深める国際情勢の中でこそ、政府は5年先、10年先を見据え、日本が今、何をすべきか? という視点で政策を立案すべきです。中長期の構想を描き、産業界とも十分に議論しながら、今は何をすべきか? ということを決めてほしいと思います。 政治と経済の連携は極めて重要です。日本は経済立国・貿易立国であり、その原点に立った政策が求められています。

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