【農林水産省】「おこめ券」に自治体反発 収穫量増で米価に先安感

政府が発行を支援する「おこめ券」が議論を呼んでいる。配布が始まっている自治体もある一方で、大阪府交野市の山本景市長は「経費率が高い」などと主張し、配布を拒否する姿勢を示している。

 おこめ券は、食料品高騰対策の一環だ。政府は11月21日に閣議決定した総合経済対策で、自治体が自由に使える「重点支援地方交付金」に2兆円を計上。このうち4000億円は、おこめ券などの発行を促す特別枠とする。使い道は自由だが、政府はおこめ券やプレミアム商品券の配布を推奨している。

 山本市長は、こうした政府の方針について11月30日、X(旧ツイッター)で「特定の人への利益誘導につながり、また、経費率も高く、物価高騰対策には不適切」と批判。おこめ券を配らないと明言し、同市分の重点支援地方交付金の使途は経費がかからない給食無償化や水道料金の免除に充てる方針を明らかにした。

 おこめ券は全国農業協同組合連合会(JA全農)と全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)の2団体が発行しており、こうした状況を指摘しているとみられる。

 鈴木憲和農水相は12月2日の記者会見で、「地域の実情に応じて、自治体の判断により的確な支援が行われる」と述べるにとどめた。農林水産省は12月3日から3日間、オンラインでの説明会を開催。おこめ券を実際に配ったり、現物でお米を消費者に届けたりしているケースを「優良事例」として紹介し、他の自治体でも配布の実施につなげたい考えだ。

   

     鈴木憲一・農水相

 農水省が公表した11月24日~30日のスーパーのコメの平均販売価格(税込み)は、5キログラムあたりで前週より23円(0.5%)高い4335円だった。4000円台は13週連続で、過去最高値を更新した。

 ただ、新米収穫量は増加が見込まれている。米穀安定供給確保支援機構が発表した、向こう3カ月のコメ価格の見通しに関する11月の指数は前月より7ポイント低い32で、先安感が強まっている。

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