Windows 11に潜む「広告」の正体
MicrosoftはWindows 11において、自社アプリや自社サービスへ利用者を誘導する仕組みをOSの随所に組み込んでいる。これらは一般的なバナー広告やポップアップとは異なり、設定の提案、おすすめ機能、通知、ヒントといった形を取るため、一見すると広告であると認識しにくい。しかし実態としては、特定のアプリやサービスの利用を促す意図を持った広告に相当する。
具体的には、スタートメニュー、設定アプリ、通知領域、ロック画面、エクスプローラーなど、日常的に目にする画面に自然に溶け込む形で表示される点が特徴だ。近年ではMicrosoft自身の製品に限らず、他社のアプリやサブスクリプションサービスが表示されるケースも確認されており、OSレベルでの広告配信という性格をより強めている。
これらの表示は完全に強制されているわけではなく、多くは設定アプリから無効化することが可能だ。ただし問題となるのは、関連する設定項目が複数のカテゴリーに分散して配置されており、「広告をすべてオフにする」といった一括設定が用意されていない点だ。そのため、利用者自身が一つ一つ設定を探し、個別に無効化する必要がある。
本稿では、Windows 11に仕込まれているこうした広告的要素を整理し、それぞれを無効化する具体的な方法を順を追って解説する。設定項目の場所や名称は分かりにくいものが多いため、どこを操作すれば何が止まるのかを明確にし、不要な広告表示を極力排除するための実践的な手引きを提示する。
デフォルトの内蔵広告をオフにする
設定アプリから [プライバシーとセキュリティ] → [全般] → [アプリに広告IDを使用して個人用に設定された広告を表示させる] → [オフ] を選択する。
スタートメニューからアプリ宣伝を削除する
設定アプリから [個人用設定] → [スタート] → [ヒント、ショートカット、新しいアプリなどのおすすめ機能を表示します] → [オフ] を選択する。
ファイルエクスプローラーからアプリ宣伝を削除する
ファイルエクスプローラーのメニューから [オプション] を選択し、表示されるフォルダーオプションダイアログで [表示] → [ファイルおよびフォルダー] → [同期プロバイダーの通知を表示する] のチェックを外す。
通知からアプリ宣伝を削除する
設定アプリから [システム] → [通知] → [アプリやその他の送信者からの通知] → [追加の設定] → [Windowsを使用する際のヒントや提案を入手する] のチェックを外す。
設定アプリからアプリ宣伝を削除する
設定アプリから [プライバシーとセキュリティ] → [全般] → [設定アプリでおすすめコンテンツを表示する] → [オフ] を選択する。
ロック画面からアプリ宣伝を削除する
設定アプリから [個人用設定] → [ロック画面] → [ロック画面を個人用に設定] → [画像] または [ロック画面] → [ロック画面を個人用に設定] → [スライドショー] を選択する。
OSベンダーが自社OSに広告を組み込むことは、是か非か
OSベンダーが自社OSに広告的要素を組み込むこと自体は、法的に見れば直ちに違法とされるものではない。Microsoftは営利企業であり、自社製品や関連サービスを促進する自由を有している。Windows 11は無償アップグレードの提供や長期的なサポートを前提としたビジネスモデルの中で、自社サービスへの誘導を通じて収益機会を確保しようとする戦略とも理解できる。
しかしここで考える必要があるのは、Windowsの倫理的・社会的な妥当性についてだ。Windowsは世界で最も利用されているパソコン向けOSであり、仕事、教育、研究、行政、医療など、社会インフラに近い位置づけにある。その基盤となるOSが、利用者の意思とは無関係に特定のサービスや価値観へ誘導する設計を持つことは、プラットフォームの中立性という観点から慎重に考えられるべきだろう。
広告が「広告」として明示されず、「おすすめ」「ヒント」「利便性向上」といった曖昧な形で提示される点も考える必要がある。これは利用者の判断力を前提にした健全な選択ではなく、情報の非対称性を利用した誘導と受け取られても仕方がない。OSは本来、利用者が主体的に目的を達成するための道具であり、ベンダーの営業活動が前面に出るべき場所ではないという期待が根強く存在する。
世界標準に近い地位を持つOSが広告収益を前提とした方向に傾くことは、将来的に他のOSやデバイス、さらには業務用・教育用環境にも同様の流れを波及させる可能性がある。一度許容された設計思想は、徐々に強化され、利用者が拒否しにくい形へと変質する恐れがある。
広告を組み込む自由と、公共的基盤としての責任。その境界線をどこに引くのかは、OSベンダーだけでなく、利用者や社会全体が意識的に問い続ける必要があるように思える。Windows 11の広告問題は単なる「鬱陶しさ」の話ではなく、デジタル基盤の在り方そのものを考え直す契機として捉えるべきテーマかもしれない。
まとめ
Windows 11における広告的要素は、従来の分かりやすい広告とは異なり、利便性向上を装った提案やヒントとして巧妙に組み込まれている点が特徴だ。そのため、利用者が意識しないまま自社サービスやアプリへ誘導される構造になっており、OSの挙動に違和感を覚える原因になっている。本稿で整理したように、これらはOS全体に散在しており、一部だけを見ても全体像を把握しにくい。
一方で、設定を正しく把握して順に無効化していけば、多くの広告表示は抑制可能だ。重要なのは、広告を「表示されてから対処する」のではなく、「表示させない状態を作る」ことだ。本稿の手順を一度実施しておけば、Windows 11をより静かで意図通りに使える環境が整う。不要な情報に煩わされず、OSを純粋な作業基盤として利用するための基礎設定として活用していこう。
![設定アプリから [プライバシーとセキュリティ] → [全般] → [アプリに広告IDを使用して個人用に設定された広告を表示させる] → [オフ] を選択](images/002.jpg)
![設定アプリから [個人用設定] → [スタート] → [ヒント、ショートカット、新しいアプリなどのおすすめ機能を表示します] → [オフ] を選択](images/003.jpg)
![ファイルエクスプローラーオプションダイアログで [表示] → [ファイルおよびフォルダー] → [同期プロバイダーの通知を表示する] のチェックを外す](images/004.jpg)
![設定アプリから [システム] → [通知] → [アプリやその他の送信者からの通知] → [追加の設定] → [Windowsを使用する際のヒントや提案を入手する] のチェックを外す](images/005.jpg)
![設定アプリから [プライバシーとセキュリティ] → [全般] → [設定アプリでおすすめコンテンツを表示する] → [オフ] を選択](images/006.jpg)
![設定アプリから [個人用設定] → [ロック画面] → [ロック画面を個人用に設定] → [画像] または [ロック画面] → [ロック画面を個人用に設定] → [スライドショー] を選択](images/007.jpg)