Bleeping Computerは12月23日(現地時間)、「Italy fines Apple $116 million over App Store privacy policy issues」において、イタリア競争・市場保護委員会(AGCM: Autorità Garante della Concorrenza e del Mercato)がAppleに対して約9863万ユーロ(執筆時点において約181億円)の制裁金を科したと報じた。
イタリア競争・市場保護委員会(以下、AGCM)はAppleの定める「App Tracking Transparency(ATT)」が市場支配的地位の濫用に当たると判断。サードパーティの開発者に対する条件の強制が、開発者に不利益をもたらしていると断定したという。
App Tracking TransparencyはEU域内で開発者に不均衡をもたらしている
ATTは、サードパーティ製アプリのデータ収集に関するポリシーを定めた規約。アプリがユーザーデータを収集して追跡情報を他社と共有する際に、Appleの指定する専用のフレームワークを使用するように求める内容だ。
アプリがターゲティング広告を表示する場合に取り入れる必要がある。このフレームワークを使用するとユーザーに標準化された確認メッセージが表示され、情報収集の事実が明示される。つまり、開発企業ではなく、エンドユーザーの保護を目的としたポリシーと言える。
AGCMは「このプロンプトはプライバシー法規制の要件を満たしておらず、開発者は同じ目的で二重の同意を求める必要があります」と述べ、欧州連合(EU: European Union)域内においては確認を2度しなければならないと指摘。これが過度な負担になっていることに加え、Apple自身は1回で同意を得ていること、そして開発者に同様の方法を提供しなかったことを問題点として挙げ、ポリシーの不均衡を認定している。
エンドユーザーの保護を目的としたポリシーは、Apple製品の利用者から好意的に受け止められている。しかしながら、今回はポリシーを自社の利益に不当に誘導したと認定された形だ。
制裁の流れがEU全域に広がる恐れ
Bleeping Computerによると、2025年3月にフランスの競争委員会(Autorité de la concurrence)も同内容で1億5000万ユーロの制裁金を科したという(参考記事:Apple fined €150 million over App Tracking Transparency issues)。ポーランドおよびドイツでも同様の調査が進行中とされ、EU各国が個別に制裁金を科す可能性がある。
今回のAGCMの決定に対し、Appleは「強力なプライバシー保護の擁護を続ける」と述べ、控訴する方針をBleeping Computerに伝えている。ATTを巡る規制当局との係争はしばらく続く情勢とみられる。
