技術ジャーナリストのPaul Thurrott氏は12月22日(現地時間)、「Microsoft to Replace All C/C++ Code With Rust by 2030 - Thurrott.com」において、Microsoftが2030年までに自社の主要コードベースからCおよびC++を全面的に排除し、Rustへ移行する長期方針を明らかにしたと報じた。

これは単なる言語置換ではなく、同社の開発文化と基盤技術を根本から刷新する計画であり、OSやクラウドを含む中核製品群に直接関与する点で影響範囲は広いとみられる。

  • Microsoft to Replace All C/C++ Code With Rust by 2030 - Thurrott.com

    Microsoft to Replace All C/C++ Code With Rust by 2030 - Thurrott.com

Rust移行を支える中核基盤、カーネルから始まった変革

この計画にはMicrosoft Distinguished EngineerのGalen Hunt氏が関与している。Hunt氏は、AIとアルゴリズムを組み合わせた大規模変換基盤を構築し、巨大な既存コードを体系的にRust化する戦略をLinkedInに寄せた投稿で提示した。ソース全体を解析するグラフ構造を生成し、その上でAIエージェントが変更を実行する仕組みが中核となる。すでに理解支援などの領域で実運用が始まっている点も示された。

この動きは突発的なものではない。Microsoftは数年前から新規のC/C++開発を抑制し、Rust採用を明確に進めてきた。Azure部門を率いるMark Russinovich氏がメモリ安全性を理由にRust利用を推進した発言は、その転換を象徴している。Windowsカーネルの一部にもRustが導入され、社内での実績が積み上げられてきた。

Hunt氏の投稿では、この変換基盤を発展させるための上級エンジニア採用にも触れられている。求められるのはRustによるシステムレベル開発経験であり、コンパイラやOS開発への理解も高く評価される。巨大資産を安全に移行するには、言語知識のみならず基盤設計力が不可欠であるとの認識がうかがえる。

業界への波及効果

このRust化プロジェクトは、Microsoft CoreAI配下のEngineering Horizons組織に属するチームが担う。同チームの使命は、大規模な技術的負債を体系的に解消できる能力を社内外へ展開する点にある。内部顧客との協働で得た成果を全社へ広げることで、開発効率と品質の両立を実現しようとしている。

今回の発表は、AIを用いたソフトウェア再構築が理論段階を越え、実務の中心へ入りつつある現状を示す。Microsoftが示した時間軸と数値目標は大胆であり、成功すれば業界全体の開発手法に影響を与える可能性が高い。言語選択と自動化技術の融合が、次世代ソフトウェア工学の基準となるかが注目される。