日立製作所(以下、日立)、日立ビルシステム、日和サービスは12月23日、日立グループの新経営計画「Inspire2027」に基づいて策定したサステナビリティ戦略「PLEDGES」における「サーキュラーエコノミー」推進の取り組みとして、日立製エレベーターのリニューアル工事で交換する永久磁石モーター巻上機のリサイクル網を構築し、12月から運用を開始したことを発表した。
同社はこの取り組みにより、レアアースなどの循環利用を促進して環境負荷低減に貢献するとのことだ。
取り組みの背景
さまざまな産業向けのプロダクトとリサイクルの知見を有する日立のコネクティブインダストリーズセクターは、「Inspire 2027」においてサーキュラーエコノミーを今後の事業の中核としている。
日立のコネクティブインダストリーズセクターに所属する日立ビルシステムは、エレベーターやエスカレーターのリニューアルを最新のテクノロジーを備えたデジタライズドアセットとして進化させ、Lumada3.0を体現する HMAX for Buildings : BuilMirai の提供を通じて、メンテナンス品質の向上やオペレーションの効率化を目指す。
回収量が今後増加すると予想されるエレベーター用永久磁石モーター巻上機のリサイクルに関しては、家庭用から産業用製品までのリサイクルに知見を持つ日立の水・環境事業統括本部が、日立グループ内で先行するレアアースリサイクル技術および高度解体技術の導入を支援することで、業界に先駆けて実用化するとともに、コネクティブインダストリーズセクター各社が取り扱う他の産業用モーターにも適用を拡大させることで、「地球環境の維持、人々と社会への価値提供」と「日立の持続的成長」を同時に加速させるとのことだ。
取り組みの概要
1999年以降に製造した日立製機械室レスエレベーターの巻上機には永久磁石モーターを採用しているが、採用初期の製品がリニューアル時期を迎えている。永久磁石モーターはエレベーター以外にも、電動車や発電機、家電など複数の用途で用いられ、今後も多くの分野での需要拡大が見込まれる。また、環境負荷低減の観点からもリサイクルの強化が求められている。
ハードディスクドライブや家電用エアコンなどに使用される小型モーターのリサイクルは進んでいる一方で、大型の産業機械用モーターは回収の方法や解体技術に課題があり、リサイクルが進んでいない。
日立は新経営計画「Inspire 2027」において、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献し、持続的に成長することを目指す。その実現に向けて策定したサステナビリティ戦略「PLEDGES」では「サーキュラーエコノミー」を推進している。
同社は今回、日立製エレベーターのリニューアルで交換される永久磁石モーター巻上機を回収し、リサイクルする仕組みを構築した。具体的には、日立ビルシステムがリニューアル工事で回収した巻上機から永久磁石モーターを取り外し、日立と日和サービスが永久磁石モーターを分解。磁石を取り出すための減磁処理を施し、取り外した磁石は社外の専門メーカーで再資源化され、再生磁石として使用されるほか、銅線や鉄部材なども分離され再資源化される。
永久磁石モーター巻上機のリサイクルとして、現状ではモーター総重量で年間80トン程度のリサイクル処理を見込んでいるという。今後はエレベーター製品のリニューアル増加によってリサイクル対象は年間650トン程度に増える見込みであり、同社は処理能力を増強する方針。
さらに、日立グループ内で扱う産業用モーターを新たにリサイクル対象に加えることで、廃棄物の削減と資源の収量確保、および再生材の需要増加を目指す。

