宝印刷と日立製作所は12月8日、財務・非財務情報を統合的に管理することで、有価証券報告書の開示までを一気通貫で支援する新サービスの共同開発開始に合意し、協業契約を締結したことを発表した。
2026年3月の新サービス提供に向け共同開発
近年、企業の持続可能性に関する取り組みは、資本市場の投資家をはじめとするステークホルダーにとって、財務指標だけでは見えない戦略や長期的な企業価値創造プロセスの一貫性という観点から、企業価値を判断する重要な要素となっている。そのため各企業に対しては、サステナビリティに関する非財務情報の開示要求が一層強まっているという。
また上場企業に対しては、2023年1月の「企業内容等の開示に関する内閣府令」の改正により、有価証券報告書におけるサステナビリティ情報の開示が義務化された上、2027年3月期からはSSBJ(サステナビリティ基準委員会)基準への段階的な準拠が義務化される予定であるなど、対応が急務となっている。
ただそうした中で、非財務情報の開示において求められる高い正確性と信頼性を確保するため、上場企業内の統合的な開示体制の構築やプロセスの整備、およびガバナンスの強化が必須とされている。さらにデータは社内の複数部門に分散することから、財務・非財務情報の一貫性確保の負荷が増大するという課題もあり、財務情報に加えて非財務情報の一気通貫での開示を支援するサービスへのニーズが、上場企業の中で高まっているとする。
そこで宝印刷と日立は今般、財務・非財務情報の統合的な管理によって、有価証券報告書の開示までをサポートする一貫したサービスの共同開発を開始する。ディスクロージャーを起点に企業の成長を支援する宝印刷は、これまで法定開示領域における深い知識とノウハウを有し、開示書類作成支援システム「WizLabo」を提供してきた。一方の日立は、自社におけるサステナブル経営の深化を進めるとともに、同社が提供するサステナビリティ情報の収集・可視化・分析効率化サービス「ESGマネジメントサポートサービス(ESG-MSS)」をグループ内で活用し、サステナビリティ関連部門の業務効率化と高度化を推進。サービスを進化させ社外にも提供することで、企業のサステナビリティ経営を支援してきたとする。
そして両社は、それぞれの専門性やノウハウを掛け合わせることで、上場企業の財務・非財務情報の開示における支援を目的とした新サービス「WizLabo Synapse」を2026年3月より提供することを目指し、共同開発を開始することに合意した。
同サービスでは、宝印刷のWizLaboで確立された財務情報の収集から開示までのプロセス、日立のESG-MSSで活用されるサステナビリティ情報の収集においてそれぞれ確保された、データの正確性に関するノウハウを活用。この新サービスの提供により、上場企業は、正確性が担保された状態でグループ会社や複数部門の財務・非財務情報を集約し、一元管理することが可能になるという。またこれら情報の統合管理がなされることで、開示内容の一貫性も担保され、監査や第三者保証へのエビデンス管理も容易となるため、常に最新かつ信頼性の高い情報の開示が行えるとともに、統合管理されたデータを経営分析や戦略立案にも活用でき、戦略的な意思決定も支援可能だとしている。
加えてWizLabo Synapseでは、SSBJ基準に対応したテンプレートでサステナビリティ情報に関するデータを収集し、会計システムなどから連携してきた財務情報のデータも集約することで、開示書類のフォーマットでワンストップで出力するという。これにより一連のプロセスが標準化・自動化され、担当者が追われていた複数部門との調整作業や煩雑なデータ転記、および確認作業が大幅に軽減される上、人的ミスのリスクも低減し、上場企業における開示業務全体を効率化するとした。
さらに両社によると、非財務情報のデータ収集に使用されている社内システムなどの既存システムとのAPI接続が可能であり、シームレスなデータ連携によって、大幅なプロセスの変更なく上場企業における迅速な導入を実現。効率的でありながら一貫性のある情報開示により、企業の信頼性向上にも貢献するという。
宝印刷と日立は今後、宝印刷における上場企業を中心とした約2000社の既存顧客をはじめとする広範へのWizLabo Synapse提供を通じて、企業価値のさらなる向上に貢献していくとのこと。また欧州の企業サステナビリティ報告指令(CSRD)への対応などサービスの機能強化を行うことで、グローバルなサステナビリティ法定開示への対応も可能にしていくとする。そしてさらに新サービスを発展させることで、企業の統合報告書やサステナビリティレポートへの発行支援による、企業の総合的な情報開示にも貢献するとしている。
