Sansanは11月27日、経理DX(デジタルトランスフォーメーション)サービス「Bill One」の新オプション機能として「AI自動照合」の提供を開始したと明らかにした。

Bill Oneで新機能提供の背景

企業では、材料や商品の仕入れ後に過払いなどを未然に防止するため、請求書に記載された金額や内容と、納品や検収、発注の情報といった仕入れに関する情報を総額・明細単位で照合する対応が発生している。

多くの場合、現場の担当者が目視で実施し、その結果を経理部門でも再度確認しており、照合した際に不一致だった項目については要因を特定するため、現場の担当者が社内の関係者や取引先と確認する必要もあり、多くの時間を要しているという。また、誰が、いつ、どのように照合を実施したかなど、過去の対応履歴が記録として残らず、業務の属人化や監査対応時に手間がかかるなど多くの課題が存在していると指摘。

特に製造や卸売、物流、不動産、建設など大量の仕入れを行う業種では、一件の請求書につき明細が数千行におよぶこともあるため、業務対応の中でも大きな負荷となっており、企業によっては月末・月初に数十名規模の専任担当者を立てたり、社外に対応を委託したりすることもあり、コストをかけているケースもあるとのこと。

  • 仕入れ後の請求書処理の流れ

    仕入れ後の請求書処理の流れ

Bill Oneは、照合業務をAIを用いて自動化していくことで、企業の生産性向上と間接コストの削減、ガバナンス体制の強化などを実現するため、新機能の開発に至った。

新機能の概要

新機能では、請求書のデータと基幹システムなどからBill Oneにインポートした納品や検収、発注の情報といった仕入れに関する照合対象データを総額・明細単位で自動照合する。金額や品目、伝票番号などの請求書の明細項目が、照合対象データの内容と一致しているかを自動で照合するほか、1つの明細項目に対して照合対象データの複数項目を組み合わせた照合なども行う。

また、確認や判断が必要な箇所をハイライト表示するなどして、不一致箇所に対応する担当者をサポートすることに加え、照合結果はBill Oneを通じてURLで社内の関係者に共有することもできる。現場の担当者は、仕入れに関する請求書の内容を目視で確認する必要がなくなるほか、社内の関係者とのやり取りも円滑になり、照合業務にかける時間を削減することを可能としている。

  • 請求書と照合対象データの照合イメージ

    請求書と照合対象データの照合イメージ

さらに、照合結果や対応履歴は、Bill Oneに蓄積され、検索、確認することができます。企業は、業務の属人化を防げるとともに、監査対応などもスムーズに実施することを可能としている。

  • 対応履歴のイメージ

    対応履歴のイメージ

技術的な側面では、照合作業に適した形で請求書の内容を明細単位で構造化してデータ化する技術と、多様な照合パターンが存在する複雑な条件下でも正しく照合する仕組みが必要となる。そのため、グループ会社の言語理解研究所との共同開発で請求書の明細を構造化してデータ化することを実現した。また、Sansanの研究開発部が開発した独自の照合ロジックで、従来の基幹システムや表計算ソフトでは難しかった処理を可能にしているとのこと。

今後、AI自動照合は「りんご」「林檎」「apple」など、表現が異なる場合でもAIが意味的な類似性や数量、単価、金額の一致度を考慮し、柔軟な自動照合を実現できるよう2026年春頃にアップデートを予定している。また、機能の開発に伴い実現した請求書明細を構造化してデータ化する技術は、今後のAIを用いた機能開発においても活用していく。