GitHubは11月13日(米国時間)、「TypeScript, Python, and the AI feedback loop changing software development - The GitHub Blog」において、TypeScriptおよびPythonなどのプログラミング言語がAIフィードバックループを形成していると伝えた。これら技術が開発環境を変革しつつある現状を明らかにしている。

  • TypeScript、Python、and the AI feedback loop changing software development - The GitHub Blog

    TypeScript, Python, and the AI feedback loop changing software development - The GitHub Blog

AIツールが作り出す開発業界のフィードバックループ

Microsoftが開発したTypeScriptはJavaScriptの拡張言語として急速に普及している。オブジェクト指向および型定義の導入が大規模開発における信頼性を高め、下位互換性の確保が採用の容易さにつながっている。

特に、型定義の導入はAIツールの利用時に不可欠な存在とされる。AIツールにはハルシネーションの問題がつきまとうが、型定義がこの問題のガードレールとして次の2つのメリットをもたらすという。

  • AIモデルの推論に、より多くの情報を提供する。これによりハルシネーションの発生を軽減する
  • 開発者はコードの正しさをより早く検証できる

AIツールの導入には業務効率の改善、つまりコードの生成およびテスト時間の短縮、信頼性の向上などの目的がある。しかしながら、生成されたコードを信頼できない場合、生産性の低下を招く「AIパラドックス」を引き起こす可能性がある(関連記事:「AI導入によるチームの生産性の低下を招く? AIパラドックスが明らかに | TECH+(テックプラス)」)。

AIパラドックスの解決には信頼性の高いAIツールを導入するか、「優れたコード生成につながる言語」を採用する必要がある。前者はAI開発企業に依存せざるを得ないことから、通常の開発者は後者を改善することになる。その結果、開発者の好みは排除され、必然的にTypeScriptやPythonなどのAIツールと親和性の高い言語の採用が広がる。

GitHubはAI技術がこのような開発環境の変化をもたらすと指摘。AIによる効率化は業界全体に広がり、言語選択はAIに最適化され、最適化が業界全体のさらなる効率化につながる。GitHubはこの一連の流れを「AIフィードバックループ」と名付け、GitHub Copilotのようなツールが新しい開発スタイルを加速させるとしている。

採用基準の変化と開発組織の再編

AIツールの導入拡大は前述の変革以外にも予想外の影響を与えている。GitHubによると、これまで忌避されることの多かったシェルスクリプト(Bashなど)の採用事例が前年比で206%増加したという。

これは開発者自身によるコーディングの必要がなくなり、嫌いな言語を採用可能になったことが理由とされる。開発者は言語への苦手意識を採用基準から排し、業務に最適なツールを選択するように変わり始めている。

これら変革は開発組織の在り方にも影響を及ぼしている。AI支援を前提とした開発体制が整備され、従来の役割分担が再編されつつある。将来の開発者は単なるプログラマーではなく、AIと協働する設計者としての役割を担うことが求められる。

今後の展望

GitHubは今後の展望として、言語の選択が不要になる可能性を伝えている。WebAssemblyのようなハードウェア非依存の実行環境が広まれば、任意の言語ですべてのプラットフォーム(Webを含む)に対応できる(AIが対応させる)との考えだ。これは必然的な言語選択の流れに逆行する考えだが、AIがもたらす可能性の1つとして興味深い示唆を与えている。

AIの進化、そして導入の拡大は、開発者に新しい技術環境への適応を要求している。今後も続くと予想されるAIフィードバックループに追従し、グローバルな潮流を意識した技術への理解と利用が必須スキルとなりつつある。