多彩な技術展示を行うことにより、技術開発に関する交流および促進の場を提供する「建設技術展2025近畿」が10月30日・31日、インテックス大阪にて開催され、日本製鉄グループがブース出展を行った。
民間企業が開発した新技術・新工法を展示・紹介する「建設技術展2025近畿」。これまで培われてきた建設技術のより一層の高度化やより広範囲な技術開発の促進へと繋げ、新技術の各工事への積極的な活用を促すことを目的としている。
今回は、防災、環境、コスト削減、安全・安心、施工、維持・更新、DX・ICT、団体、学校といった9つの分野におよそ650の技術が集結し、日本製鉄グループは「安全・安心」の分野でブースを展開した。
日本製鉄グループのブースでは、会社全体としても大きな課題と捉えられている「カーボンニュートラル」への取り組みを大きく紹介。「2050年カーボンニュートラル」に向けて、「NSCarbolex」というブランドを立ち上げ、「NSCarbolex Neutral」と「NSCarbolex Solution」という2つの価値を提供している。
「NSCarbolex Neutral」は、同社の企業努力によって、単位あたりのCO2などの温室効果ガスの排出量を削減すると同時に、プロジェクトごとの排出量を把握し、マスバランス方式を適用して、任意の製品に割り当てたGXスチール。国土交通省が運営する新技術情報提供システム「NETIS」にも登録されている。
一方、「NSCarbolex Solution」は、同社が提供する製品だけでなく、利用技術も含めたソリューションを体系化・ブランド化することによって、鋼材供給と使用時の工法提案を含めた情報提供を行い、CO2を削減していくという取り組み。この2本柱で、「NSCarbolex」というブランドを前に進め、カーボンニュートラルの実現を目指していくという。
現在の製鉄は、鉄鉱石と石炭の化学反応によって行われているため、製造過程においてのCO2排出は必然ともいえる状況。その中で同社は、鉄鉱石と酸素を化学反応させることで、CO2を排出しない技術を現在開発しており、2050年に酸素還元製鉄の技術を確立するという長期ビジョンを展開している点にも期待が高まる。
また、鉄鋼製造の副産物として生じる「鉄鋼スラグ」を活用したカーボンニュートラルへの取り組みである「海の森」活動についても紹介。鉄鋼スラグは、鉄鉱石から鉄の成分を取り除いた、いわば残滓であり、セメントや道路の路盤材など幅広い用途に活用されている。「海の森」活動は鉄鋼スラグを活用することで海域に“藻場”を造成する取り組み。造成した藻場が光合成によりCO2を取り込み、海底などに蓄積される炭素、いわゆるブルーカーボンを増やす活動を行っている。
昨今、問題となっている“磯焼け”のひとつの要因として考えられているのがミネラル分の不足・欠乏。鉄鋼スラグに含まれる鉄などのミネラル分が海藻類の生育を助ける働きをする。同社では、この「海の森」活動を2004年から推進しているが、今度はさらに規模を広げることで、カーボンニュートラルに結びつけていくとしている。
そのほか、同社の高性能な鋼材と高度な設計・施工技術を組み合わせた建設分野向けパッケージとして「ProStruct」と呼ばれる建設ソリューションブランドを展開。
この「Prostruct」は、生産性の向上や環境負荷の低減といった建設ニーズに対応するだけでなく、政府が推進している「国土強靭化」への取り組みも含まれている。今回のブースでは、「省力化・省人化」「カーボンニュートラル」「防災・減災」をテーマにした建材や技術、工法などが紹介された。
「Prostruct」でも重視される「カーボンニュートラル」だが、日本製鉄グループの「イソダッハR」は、屋根や壁面に使用される、鋼板と断熱材を一体化させた金属サンドイッチパネルである。断熱性能が高く、一般的な二重折板と比較しても1.5倍以上の断熱性能を発揮するため、冷暖房費の削減効果により、カーボンニュートラルに繋がっていく。
また、現場加工が削減できるほか、軽量で施工性に優れているため、短期間施工が可能であることでの物・人の輸送を抑えることによってCO2だけでなく、施工コストの削減、さらには省人・省力化にも大きく貢献するという。
日本製鉄グループでは、「NSCarbolex」を通してグリーン鉄を提供することで供給責任を果たしつつ、「海の森」活動などを行うことで、トータルとしてのCO2削減に寄与。さらに、全体として長寿命化を図ることにより、CO2はもちろん、施工の工数や運用・保守費用などを含むライフサイクルコストの削減を目指すなど、100年、200年という長期スパンでの取り組みにも注力している。





