BetaNewsは11月11日(米国時間)、「The AI Paradox: GitLab finds faster coding is slowing teams down - BetaNews」において、AIの導入がチーム全体の速度を低下させる要因になり得ると伝えた。AIは個々のコンピューティングを高速化させるが、生産性を低下させる「AIパラドックス」を引き起こす可能性があるという。
AI導入の成否を分ける戦略調査
AIパラドックスはGitLabおよび市場調査企業「Harris Poll」の共同調査で明らかになった。調査結果の詳細はレポート「GitLab Global DevSecOps Report」として発表されている。
同調査はソフトウェア開発、IT運用、セキュリティ分野で働く3266人の専門家を対象に実施された。BetaNewsによるとAIを導入したチームは迅速なデプロイを可能にした一方で、AIでは解決できない非効率性の時間喪失に直面したという。
具体的な原因の一つとして、ツールの断片化と連携のギャップが指摘されている。60%の回答者が5つ以上の開発ツールを使用し、49%が5つ以上のAIツールを使用していると回答。これらツールの乱立が、AI活用の潜在的なメリットを制限するとされる。
AIエージェントについては85%の回答者が「AIエージェントはプラットフォームエンジニアリングアプローチで実装された場合に成功する」と述べ、複雑化する組織のガバナンスとコンプライアンス領域において役立つことが示された。しかしながら、AIパラドックスに直面した場合、AIエージェントは事態をより悪化させるという。
AIパラドックスの顕在化
同調査の注目ポイントは「AIパラドックス」の特定と分析だ。AIパラドックスはAIを導入することによる業務効率の向上と、品質やセキュリティの欠如による業務効率低下の両立を表す。
Betanewsはソフトウェア開発におけるAIパラドックスの具体例として、レポート回答の矛盾を挙げている。回答者の76%はAIを利用するとコーディングが容易になると回答した一方で、エンジニアの数は減らず増加すると回答した。バイブコーディングなど、AIを活用するソフトウェア開発の高速化が推進されているが、その信頼度は低く、開発者に以前より多くの時間的負荷をかける実態を浮き彫りにしている。
コンプライアンス管理においてもAIバラドックスが報告されている。回答者の76%がAI導入後にAIのコンプライアンス機能に問題を発見、その一方で2027年までに同機能が直接コードに組み込まれるだろうと予想した。問題を作り出す機能が近い将来コードに組み込まれるという矛盾が生じている。
AI導入の成否は、業務全体を見渡したときに効率の向上が達成されていれば成功したと評価できる。全体の効率化が部分的な速度の低下を上回ればよいとの考え方だ。AIパラドックスはこの評価基準において重要な要素となる。AIパラドックスを完全に回避できれば最良だが、少なくともレポートからは困難な道のりであることが示されている。
AI導入を進める組織はAIパラドックスの可能性を考慮し、ボトルネックを軽減する対策を講じることが求められる。レポートでは、AIパラドックスを経験した専門家たちの回答を伝えており、AI導入を検討している組織に貴重な示唆を提供している。
