オブザーバビリティ(可観測性)製品を提供するDynatraceは11月11日、米国本社からCEOのRick McConnell(リック・マコーネル)氏が来日し、メディア向けのラウンドテーブルを開催した。
オブザーバビリティ市場の最新動向
同社は2005年にAPM(アプリケーションパフォーマンス管理)製品を提供するベンダーとして設立。2019年ニューヨーク証券取引市所に上場、2021年に日本市場での活動を本格化し、本社は米国ボストン、グローバルに62拠点を展開している。
マコーネル氏は「これまでオブザーバビリティを導入する際は、ログに特化したツールやユーザー行動を監視するツールなど、さまざまな個別のツールを使っていた。現在、企業はソフトウェアが上手く機能する世界を望んでおり、ソフトウェアの監視やログも含めて統合的に単一のツールでオブザーバビリティを実現したいと考えている」との認識を示した。
同氏によると、統合的なオブザーバビリティを実現するうえで「モジュールレベル」「データレベル」「ペルソナレベル」「技術・ビジネスレベル」の4つのレベルによるエンドツーエンドのオブザーバビリティが重要だという。
ただ、同氏は「エンドツーエンドかつ統合的なオブザーバビリティは、ベンダーが統合されていくことを意味する。エンドツーエンドで横断的な機能を提供できる企業が市場で生き残る」と話す。
GrailとDavisが実現する自律型オブザーバビリティ
このような競争原理が働く市場で同氏が挙げた同社の強みは、ノースキーマかつノーインデックスのデータレイクハウス「Grail」と独自のAI「Davis」だ。
マコーネル氏は「Grailはすべてのデータが保存できる。分散してデータを保存するのではなく、コンテキスト(文脈)を持った形で保存され、分析にはDavisを活用する。これにより、問題が起こる前に自動的に検知して自動修復を行うため自動化が可能になる。ある航空会社の顧客は以前に10以上のツールを駆使していたが、当社の製品を導入したことですべてを統合している」と強調した。
同社が統合的なツールを提供できる背景にはDavisの存在も欠かせないという。Davisには因果AI(Causal AI)、予測AI(Predictive AI)、生成AI(Generative AI)の3つの要素が含まれている。同氏は「3つの要素が含まれたAIエンジンは非常にパワフルであり、当社の大きな差別化要因になっている」と語る。
一方、エージェントAIが台頭する時代を迎え、同社でもエージェントAIを使い、ソフトウェアが常に効率的に動作する機能を提供している。同氏は「20年前のオブザーバビリティはリアクティブ(受動的)、10年前はプロアクティブ(能動的)と変遷してきたが、これからは予測の世界に突入していく。先述したように問題が起こる前に手を煩わせることなく、解決している状態だ。そして、その先の世界は自律化したオブザーバビリティになるだろう」と述べている。
ServiceNowとの提携と日本市場への戦略的投資
自律化したオブザーバビリティに向けて、9月に分析、AI、自動化で自律型インテリジェンスへの進展を促進する第3世代プラットフォームを発表。Grailに同社のAI駆動型分析と自動化を組み合わせることで、テレメトリーを正確なビジネスインサイトとインテリジェントな自動アクションへと変換できるという。
また、10月末にはServiceNowと自律型IT運用の推進に向けて複数年にわたる戦略的パートナーシップを発表。これは企業がエージェント型AIを活用し、運用効率を高めるため、両社のソリューションを統合し、よりプロアクティブでインテリジェントなIT運用を実現するというもの。DynatraceはServiceNowをエンタープライズサービス管理、HRサービス、資産管理に導入し、ServiceNowはDynatraceのオブザーバビリティを活用して自社のデジタル運用を強化するとのこと。
こうした取り組みを通じて、マコーネル氏は「今後、大きな企業になればなるほど、クラウド環境を移行するとともにAIワークロードが拡大し、運用が複雑になっていく。そのため、当社がオブザーバビリティで支援する」と力を込めた。
そして、最後にマコーネル氏は「当社は日本市場に対して大きな投資を行っている。日本の企業は複雑なIT環境であり、当社が支援できると自負している」と述べ、プレゼンテーションを結んだ。





