Amazon Adsはこのほど、渋谷ヒカリエで、中小企業のマーケティング担当者向けイベント「Amazon Ads Local Tokyo Business Accelerator」を開催した。同イベントは中小企業で広告関連業務に携わる人向けにAmazonのスポンサー広告の効果的な活用法から戦略的利用法、広告クリエイティブの作成法などの情報提供を行う。

今回のテーマは「中小企業×AI」で、アマゾンジャパン Amazon Ads Head of Growth Sales JP 伊勢谷直美氏による基調講演、兄弟漫才コンビ「ミキ」と京でんの代表取締役 竜田昌雄氏によるAIを活用した広告クリエイティブの制作効率化のデモンストレーションが行われた。

以下、基調講演とデモンストレーションの模様をお届けしよう。

  • Amazon Ads Local Tokyo Business Accelerator

    Amazon Ads Local Tokyo Business Accelerator

中小企業の広告におけるAI活用に関する独自調査の結果を初公開

基調講演では、伊勢谷氏が、中小企業でB2Cマーケティング決裁者を対象に広告におけるAI活用に関して行った調査「Al in Advertising」の結果を紹介した。

同調査は、Amazon Adsの委託によりOpiniumが2025年6月12日から23日の期間、製造業、商業、小売業等の日本の中小企業のB2C マーケティング決裁者300名を対象に実施。

  • アマゾンジャパン Amazon Ads Head of Growth Sales JP 伊勢谷直美氏

    アマゾンジャパン Amazon Ads Head of Growth Sales JP 伊勢谷直美氏

同調査から、65%という過半数強のマーケティング決裁者が広告分野におけるAIツールを認識していながら、本格導入はわずか6%と、AI導入がまるで進んでいない現状や、担当者がAIに対して何を期待しているのかなど中小企業のAIに関する現状がわかる結果となった。

中小企業におけるAIツール、認知度はあるのに導入できない理由とは

こうした現状について、伊勢谷氏は「多くの企業がAIツールを試験導入、あるいは計画段階、または具体的な検討にも至っていないという状況」にあると分析してみせた。調査ではAI導入に踏み出せない理由として、「導入コスト・運用コストへの不安」(51%)、「AIの仕組みや効果への理解不足」が(32%)、「AI出力結果への信頼性の問題」(20%)という回答が上位に上がっており、中でも過半数がコスト面への不安を挙げた。

  • 広告分野でAI活用にまつわる課題

    広告分野でAI活用にまつわる課題

一方でコストが気になりつつも、AIツール導入を検討している企業のうち、77%が「広告キャンペーンのパフォーマンス向上を確信している」と回答、98%が「今後1-2年でAIがビジネスに影響をもたらす」と予測しており、AIに対する大きな期待も伺うことができる。

  • AIツール導入を検討している企業の「広告キャンペーンのパフォーマンス向上を確信している」と「今後1-2年でAIがビジネスに影響をもたらすと予測」へ回答

    AIツール導入を検討している企業の「広告キャンペーンのパフォーマンス向上を確信している」と「今後1-2年でAIがビジネスに影響をもたらすと予測」へ回答

マーケティング担当者が考えるAIが最も活用できる領域トップ3

また、「マーケティング担当者が考えるAIが最も活用できる領域トップ3」は、「ビジュアル作成(38%)」「インサイト分析(37%)」「広告コピー作成(33%)」となった。認知度の調査でも画像生成やコピー制作への関心が高かったことから、クリエイティブ分野でのAIに対する期待が伺える結果となった。

この結果に関して、伊勢谷氏は「ビジュアル作成では、外注依存からの脱却や制作時間の短縮が期待されている。インサイト分析においては自動化によって深い洞察のための時間が確保されること、また、広告コピーの作成ではより多くのバリエーションを効率的に生み出せることが期待されている」と、自身の見解を述べた。

AIツールによって平均23%の広告予算を削減

先に、AI導入の障壁の一つにコストがあると紹介したが、一方でAIツール導入によって平均23%の予算削減効果が期待されている。これについて、伊勢谷氏は「月に100万円の広告予算を持つ企業なら、23万削減できる可能性がある」と言及、「これは決して小さな数字ではない」とその効果の程を語った。

伊勢谷氏は、今回の調査結果について「AIは一時的なトレンドではなく、ビジネス成長に不可欠なツールとして認識され始めている」と述べ、人員を増加しない形での業務拡大、市場トレンドへの迅速な対応、新規オーディエンスの開拓、マーケティングROIの改善など、AIに対し多くのことが求められるようになると、今後の展望を語った。

ただし、AIの活用に向けて取り組み始めた企業からは「どこから始めればよいのか」「どのように活用すれば効果が出せるのか」といった声が同社に多く届いていることにも言及。伊勢谷氏は、そうした企業のニーズに応えるため、Amazon Adsがソリューションの開発・提供を行っていることを強調、その具体的な内容を説明した。

Amazon AdsのAIに対する取り組み

伊勢谷氏は今回の調査を踏まえた上で、AIに関心のある層が注目する「ビジュアル作成」「インサイト分析」「広告コピー作成」に対応したAmazon Adsのソリューションを紹介した。

まず、AIによる動画作成ツール「AI動画ジェネレーター」について説明が行われた。同ソリューションは、ASIN(Amazon Standard Item Number:Amazon独自の商品識別コード)から画像を選択してマルチシーン動画をワンクリックで生成できるもの。

  • AI搭載動画生成ツール「動画ジェネレーター」の概要

    AI搭載動画生成ツール「動画ジェネレーター」の概要

使い方は簡単で、Amazonの広告コンソールのクリエイティブツールから動画ビルダーを選択し、対象商品を選ぶことで、商品ページの画像や動画、Amazon独自の情報を活用して、6分以内に6種類の動画が自動生成される。追加素材のアップロードやフォント、色合いを調整することでブランドに合わせたカスタマイズもできる。完成動画はすぐに広告配信可能で、素材として保存して再利用もできる。

  • 「AI動画ジェネレーター」で商品を選ぶと、動画が自動生成される

    「AI動画ジェネレーター」で商品を選ぶと、動画が自動生成される

同ソリューションは2025年6月より米国で提供開始されている。専門知識がなくとも簡単に動画広告のクリエイティブを作成可能ということで、動画制作時間の大幅な短縮、新たな商品展開の可能性などビジネス上での大きなメリットも報告されており、日本でもリリースが予定されている。

  • 自動生成で生成された6つの動画

    自動生成で生成された6つの動画

また、インサイトに関してもAmazon Marketing Cloud(AMC)のアップデートが行われ、スポンサー広告を活用する全ての広告主がAMCを利用可能になったという。

  • Amazon Marketing Cloud

    Amazon Marketing Cloud

そして、中小企業向けに手軽にAIを活用した動画広告を作成できるサービスとして、Amazon Adsとデザインプラットフォーム「Canva」が連携し、簡単に動画広告を作成できるテンプレートの提供が紹介された。伊勢谷氏は、同ソリューションについて「動画クリエイティブの作成で、どこから始めればよいのか分からない方にCanvaに最適化された広告テンプレートで手軽にビジュアル制作可能な環境を提供できる」と語った。

伊勢谷氏は、こうしたAmazon Adsの取り組みの本質が、コストと作業時間を削減することによる「時間の創出」にあることを強調した。同氏は、ソリューションによって確保された時間を「顧客とのコミュニケーションや新商品のアイデア醸成、チームでの戦略議論の活性化、新しいスキルの習得などに活用し、ビジネスをより創造的に戦略的に展開できる」と語っていた。

ミキもびっくり、素人が簡単に動画広告を作成「Canva」のAmazon Ads用テンプレートのデモ

次いで、「Canva」上で提供されているAmazon Adsに最適化されたテンプレートを活用しての広告クリエイティブ制作について、京でんの代表取締役 竜田昌雄氏と、スペシャルゲストの兄弟漫才コンビ「ミキ」の昴生氏と亜生氏によるデモンストレーションが行われた。

  • 京でん 竜田氏とスペシャルゲスト・兄弟漫才コンビ「ミキ」の昴生氏と亜生氏

    京でん 竜田氏とスペシャルゲスト・兄弟漫才コンビ「ミキ」の昴生氏と亜生氏

竜田氏は、京都でミニ財布を中心に革小物ブランド「COTOCUL(コトカル)」の製造販売をしており、今回Amazonで出品販売されている企業の成功までの過程を長編動画化した「Rising Stars」と、本編より派生した番組「ライジングスターズゼミ」に出演した縁で、デモンストレーターとして参加した。

  • 京でん 代表取締役 竜田昌雄氏

    京でん 代表取締役 竜田昌雄氏

一方の「ミキ」も「ライジングスターズゼミ」に出演しており、竜田氏とは番組で共演済みで終始くだけた雰囲気でデモは行われた。初めに、AIを活用したクリエイティブ制作として、竜田氏が「Canva」で広告コピーを2分間で作成し、ミキの2人が作成したコピーと対決した。

  • 兄弟漫才コンビ「ミキ」のお二人

    兄弟漫才コンビ「ミキ」のお二人

竜田氏が宣伝したい製品ミニ財布のアピールポイントは、コンパクトなのに機能性に優れていること、お札が折れないで収納できること、「するっ」とお札がはいる滑らかな使用感、京都の本革を使用していること、京都発信のブランドであることの5点。これを「Canva」の「テキストボックスを追加」から「マジックボックス作文」をクリックして、表示されたダイアログに同内容をテキストで入力。

  • 「Canva」でのAIを活用した広告コピーの作成

    「Canva」でのAIを活用した広告コピーの作成

実行ボタンを押すと、20秒程度で20個のコピーが出力される。気に入らない場合は「生成ボタン」で再度、コピーを出力できる。竜田氏は、合計で40の候補の中から「滑らか収納、京都の技が光るコトカル」を選択。AIはミキが1つ考える間に40ものコピーを出力、AIでのコピー作成の効率性が一目でわかる結果となった。

  • 20の広告コピーを20秒で出力

    20の広告コピーを20秒で出力

  • ミキの亜生氏が考えたコピー

    ミキの亜生氏が考えたコピー

次のセッションでは、竜田氏が「Canva」により作成したキャッチコピーを使って動画広告を6分で作成するデモンストレーションが行われた。同氏は、多くの来場客の前で緊張しながらも、1分オーバーで動画を作成した。

  • 竜田氏が「Canva」を使って動画を作成

    竜田氏が「Canva」を使って動画を作成

動画広告は「Canva」のテンプレートの中から最適なものを選択した後、テンプレート内の画像やコピーを用意したものにコピー&ペーストを行うことで制作。Amazon Adsのスポンサー広告利用者は画像が登録されているので、ワンクリックで貼り付けることができる。後は、背景の変更、フォント、色などを変更し、自身のブランドに合わせていく。動画は、下にタイムラインが表示されているので、それに対応した画像をすべてのシーンで変更していく。完了したら、その場で動画の確認とアップロードができる。

  • 作成された動画

    作成された動画

竜田氏は「Canva」でのクリエイティブ制作について、「人に作ってもらったキャッチコピーを作り直してほしいとお願いするのは人間関係を否定しているみたいで嫌な気分になる。AIならいくらでも作成できるのがいい」と感想を述べた。ミキの亜生氏は、「職人は物作りにはこだわるが、どう売っていくかについては人任せにしがち。CanvaのAmazon Ads用テンプレートを使えば、物を作りながらでも広告を簡単に作成できるのがいい」とその機能を賞賛した。