Microsoftは10月24日(米国時間)、「Announcing Windows 11 Insider Preview Build 26220.6982 (Dev Channel)|Windows Insider Blog」において、Windows 11に新機能「Windowsメモリ診断(Windows Memory Diagnostics)」を導入すると発表した。

この機能により、コンピュータが予期せず再起動した場合に、メモリの故障を検出できるようになるという。

  • Announcing Windows 11 Insider Preview Build 26220.6982 (Dev Channel)|Windows Insider Blog

    Announcing Windows 11 Insider Preview Build 26220.6982 (Dev Channel)|Windows Insider Blog

主記憶装置(メインメモリ)のデータ破損

コンピュータには主記憶装置と呼ばれる揮発性のメインメモリが搭載されている。電源が切れるとデータを消失してしまうが、動作速度が比較的早く、CPUに直結した記憶装置として重要な役割を担っている。

Windowsなどのオペレーティングシステムはこのメモリ上に自身を含む重要なデータを配置および管理しており、データが破損しないことを前提として動作している。何かしらの異常でデータを破損すると、システムは正常に動作することができなくなり、ブラックスクリーン(BSoD: Black Screen of Death)を表示して強制再起動に至ることがある。

一般に流通している主記憶装置は非ECCメモリと呼ばれ、エラー訂正機能を省略している。それでもある程度の信頼性があり、データ破損に至る確率は低く抑えられているが、まれに故障して一部のデータを保持できなくなることがある。

今回Microsoftが搭載した「Windowsメモリ診断」は、このようなメインメモリの異常を検出する機能となる。同様のツールとしては「Memtest86+」が有名だ。Memtest86+はスタンドアロン(オペレーティングシステム不要)で動作し、時間をかけて徹底的なメモリー診断を実行することができる。

Windowsメモリ診断(Windows Memory Diagnostics)の挙動

Windowsメモリ診断は予期せぬ再起動が発生した場合に動作する。再起動後のサインイン時にメモリ診断を推奨するメッセージを表示して、ユーザーに診断を実行するか選択を求める。診断を選択した場合は実行がスケジュールされ、次回の再起動時に診断を行う。

  • サインイン時に表示されるメモリー診断を推奨するメッセージ - 引用:Microsoft

    サインイン時に表示されるメモリ診断を推奨するメッセージ 引用:Microsoft

Microsoftによるとこのメモリ診断は平均5分程度で完了するという。Memtest86+と比較して処理時間が大幅に短いことから、CPU命令とビットパターンを網羅するような厳密なチェックはしないと推測される。

メモリに異常を検出して影響を軽減すると、起動後に通知が表示される。ユーザーはハードウェア異常を簡単に識別できるようになり、スムーズな修復が可能になると期待されている。

なお、現在のメモリ診断機能は「すべてのバグチェックコードをトリガーとして含める」とされ、予期せぬ再起動の原因によらず診断が提案されるという。将来的には提案対象となるターゲットを絞り込むことが予定されている。

Windowsメモリ診断はWindows Insider ProgramのDevチャネル向けリリースとなるWindows 11プレビュービルド26220.6982(KB5067109)に搭載された。現時点ではArm64デバイス、管理者に保護されたデバイス、セキュアブートのないBitLocker環境をサポート対象外としている。なお、新機能は段階的な展開の対象となっており、システムのアップデート後すべてのユーザーがすぐに利用できるとは限らない。