米Pure Storageの日本法人ピュア・ストレージ・ジャパン(以下、ピュア・ストレージ)は10月2日、年次イベント「Pure//Accelerate 2025 Tokyo」を都内のホテルで開催した。基調講演には代表執行役員社長に就任した五十嵐光喜氏が登場し、データ主権とビジネスリスクに関する調査結果を紹介するとともに、新たなプラットフォームサービスについて発表した。
データ主権の課題に対応するための4ステップ
ピュア・ストレージとシドニー工科大学が、日本を含む世界9カ国を対象に実施した共同調査の結果、回答者の100%が「データ主権のリスク(サービスの中断を含む)により、データの所在を意識するようになった」と回答した。
なお、データ主権とは、データの管理やアクセス、利用方法を決める権限を誰がどのように持つのかにフォーカスした考え方である。データは収集して保存および処理される国の法律やガバナンスに従うべきだという考えの下、個人情報など機密性の高いデータをサイバー攻撃や不正アクセスから保護するために重要視されている。
また、同調査では92%が「地政学的な変化がデータ主権リスクを高めている」と回答したほか、92%が「データ主権への不十分な対応はレピュテーションの損失につながるおそれがある」、85%が「データ主権に関する課題を放置すると最終的に顧客の信頼を失う」、78%が「複数のサービスプロバイダーの採用、ソブリンデータセンターの導入、契約時の商業契約へのデータガバナンス要件の組み込みを計画している」と回答している。
五十嵐氏はこれらの結果を引用し、「お客様の中で、新しい認識が広がっている。その認識とは、これまで通りの法規制への準拠だけでなく、地政学的なリスクや各国の規制の変化が市場競争力やイノベーション、企業の信頼にも影響を与えるであろうという認識だ」と、紹介した。
データ主権は単なるコンプライアンスの問題から、基本的なビジネスリスクになりつつある。データ主権に関するリスクに対し、能動的に対応しなければ、収益の損失や法令違反による罰則、回復不能なレベルのステークホルダーの信頼喪失につながるおそれがあるという。
データ主権に関する課題への対応策として、五十嵐氏は「まずはリスクの大きい領域から優先してアセスメントを実施し、手元に置くデータとクラウドに置くデータのハイブリッドで対策を考えてほしい。これと同時に、ソブリンクラウドのプロバイダが提供するサービスを評価し、規制の強化や変化にも対応できるようにしてほしい」と説明していた。
新ソリューション「エンタープライズ・データ・クラウド」でストレージ運用を簡素化
続いて、米Pure Storageでコア・プラットフォーム事業部門のゼネラル・マネージャーを務めるShawn Hansen(ショーン・ハンセン)氏が、AIとサイバーレジリエンスを強化する新ソリューションについて紹介した。
新ソリューションの基盤となるのは、エンタープライズ・データ・クラウド(以下、EDC)だ。EDCはオンプレミスやパブリッククラウド、またはそれらのハイブリッド環境を横断して仮想化クラウドでのデータの集約と一元管理を可能とする。
Shawn氏はEDCの特徴について、従来の手動型のアレイと比較して「プロビジョニングやロード・バランシングを自動化する。また、データ保護はポリシーベースで可能となり、生データにグローバルからアクセス可能だ。どこからでもデータにアクセスでき、一貫したポリシーを適用できることは、AIにとって特に重要」と説明した。
また、「皆さんにはストレージの管理をやめていただきたい。インフラを管理するのではなく、データによる成果を管理するようになってほしい」とも話していた。
EDCにおいてデータを管理する基盤「Pure Fusion」は、自律型のコントロール・プレーンとして機能する。データがサイロ化している場合でも、仮想化によって単一のデータクラウドのように扱えるという。
2027年度上半期にはPortworxとPure Fusionの統合を開始し、データとストレージを管理するための一元化された統合プラットフォームを提供する予定。Pure FusionがKubernetesのワークロードをサポートする。
同社のストレージはハードウェアの種類にかかわらず、Purityという単一のOSで稼働する特徴を持つ。そのため、Pure1のプラットフォームを活用して多大なログを活用できる。このデータを用いてAIを構築し、自律型のコントロール・プレーンを実現しているとのことだ。
EDCはPurity OSの標準機能として提供するため、ユーザーはOSをPure Fusionに対応するものにアップデートすれば、いつでも使い始められる。
また、自律型のコントロール・プレーンはアプリケーションをデプロイする際に、最も適したアレイを自律的に選定するため、人手を介さずに運用管理の負荷を軽減する。デプロイの際に必要なアレイを探して、GUIやAPIなどで管理する手間が不要になる。
将来的には、動的なデータ再配置機能も実装予定だという。デプロイ時には最も適していたアレイから、運用に応じてより適したアレイがある場合にはAIが自律的に制御し無停止で移行する。
さらに同社は、AI Copilot(AIコパイロット)とMCP(Model Context Protocol)サーバを2026年度第4四半期に統合する予定。これにより、トラブルシューティングやプロビジョニング、最適化をする際に、自然言語でAIに指示を出せるようになる。
AI CopilotはMCPサーバとクライアントの両方の機能を持ち、ハードウェア性能、サブスクリプション、セキュリティデータなどの内部システムから、分析エンジンやアプリケーションモニターなど外部システムまで統合的な管理を実現する。
加えて、サイバーレジリエンスの強化に向け、同社はVeeamとの連携を強化し、as a Serviceモデルのソリューションを2026年度第4四半期中に提供開始する。複数のアレイを統合する「フリート」全体を包括的に自動化し、セキュリティを強化するとともにリカバリまでの時間短縮を支援するとのことだ。








