BroadcomのVMware買収に伴うVMwareライセンスの変更により、仮想化されたワークロードに対する代替アプローチに関する議論が活発化しています。
米国を拠点とするサポート・プロバイダーであるRimini Streetが2024年に実施した、VMwareの顧客110社を対象とする調査では、回答者のほぼ全員(98%)が、少なくともVMware資産の一部についてすでに代替手段を使用しているか、その使用を検討もしくは計画していることがわかりました。一方で、79%の回答者は、現在ライセンスされているVMwareソフトウェアは現在のビジネスニーズを満たしているとも回答しています。
BroadcomがVMwareの永久ライセンスをサブスクリプション・モデルに置き換え、VMware製品をポートフォリオにバンドルするというアプローチは、すべての人にとって最適なアプローチではないかもしれません。したがって、一部の企業が代替案を検討しているのも当然でしょう。ただし、特にそれらの仮想マシン(VM)の管理、ストレージ、データ保護に関しては、切り替えは容易ではありません。
代替案は何か
選択肢は、大きく次の2つに集約されるでしょう。「VMwareを使い続けつつ、他の部分で効率化を図ってコスト増加を抑える」、「ワークロードの一部または全てをVMwareから移行する」のいずれかです。
VMwareの代替案としては、別のハイパーバイザへの移行、KubernetesでのVMワークロードの実行(コンテナ化されているかどうかに関係なく)、またはVMwareワークロードのクラウドへの移行などがあります。
OSS「KubeVirt」に注目
コンテナ化は、サーバ仮想化に代わる強力な選択肢です。例えば、KubeVirtはKubernetesを使用して仮想マシンをオーケストレーションできるオープンソース・ツールであり、コンテナと仮想マシンを並べてアプリケーションを構築できる環境を提供します。通常、Kubernetesは軽量で移植性の高いコンテナ向けに設計されていますが、KubeVirtはKubernetesを拡張し、同じ環境で同じツールとワークフローを使用して従来の仮想マシンも管理できるようにします。
利点としては、ライセンスコストが低いこと、そしてコンテナ化がオンプレミスとクラウド環境をまたがって動作可能なクラウドネイティブ・アプリケーションに最適であることなどが挙げられます。さらに、コンテナが提供する迅速なデプロイとスケーリングの利点もあります。
コンテナはもともとステートレスとして設計されたため、ストレージは課題となっていました。しかし現在では、コンテナと仮想マシンの両方のKubernetesワークロード向けに、非常に成熟したストレージおよびデータ保護ソリューションが複数存在します。
ここで注目すべきは、Kubernetes向けに設計されたデータ管理プラットフォームを提供し、かつその環境に対してネイティブにストレージ、データ保護、オーケストレーション機能を提供するベンダーです。ここで説明するシナリオでは、KubeVirtを大規模にサポートできる能力が重要です。
VMware移行のメリットとデメリット
VMware移行にあたっては選択肢が多岐にわたるため、切り替えには多くの潜在的なメリットがあります。そのほとんどの場合、代替プラットフォームにおけるライセンスコストの低減に重点が置かれますが、それ以外の領域についても慎重に検討する必要があります。
例えば、新しい環境への移行における組織のスキル管理、バックアップ、ストレージ、ネットワークなど既存の依存関係を新しい仮想化レイヤーに統合する方法、既存のハードウェアが対象の仮想化環境に対応できるかどうか、移行自体のコストなどが挙げられます。
どのルートを選択する場合でも、組織は決定を下す前に、VMwareの代替案に関する管理オーバーヘッド、ストレージ、データ保護、およびコストを考慮する必要があります。
適切なストレージ選択の重要性
VMwareを継続利用する場合でも、他のプラットフォームへ移行する場合でも、パフォーマンス問題を防ぐためにはストレージの整合性が不可欠です。仮想マシンのワークロード性能要件は多岐にわたり、大量の読み書きを伴う高負荷かつ高度にランダムなAIワークロードやトランザクション処理から、読み込みが主体でシーケンシャルな処理までさまざまです。したがって、仮想化環境では、各コンピューティングノード上で多数の仮想マシンが稼働する状況下でも、大量のランダムI/Oを処理できるストレージが求められます。
フラッシュ・ストレージは、これらのI/O要求に適しているため、ほとんどの仮想化環境において不可欠ですが、コンピューティング層から分離する必要もあります。データ量の増加に応じてコンピューティングとストレージ容量を独立して拡張できる能力は有用でコスト効率が高いだけでなく、複数の仮想化ソリューションやコンテナ化ソリューションで同時に同じストレージ・システムを利用することを可能にします。
仮想マシンのワークロードは、AIやトランザクション処理のような高負荷のランダムなI/Oから、読み込み中心のシーケンシャルなタスクまで多岐にわたるため、他の選択肢と比較してパフォーマンス、密度、信頼性に優れたオールフラッシュ・ストレージが最適です。
仮想化市場における最終的な決断
VMwareの代替を求める企業は、別のハイパーバイザーへの移行やコンテナ化を採用が可能です。どちらの選択肢を選んでも大きなメリットがありますが、バックアップやストレージなどインフラの主要領域における既存の依存関係と新環境が整合する必要があるため、慎重な検討が求められます。
これらの組織がVMwareと並行して稼働する可能性のある新ソリューションを採用する際には、複数のプラットフォームを同時に運用することによる管理上の負担を軽減するため、柔軟性と使いやすさを優先することが重要です。
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