全米経済研究所(NBER: National Bureau of Economic Research)は9月16日(現地時間)、「How People Use ChatGPT|NBER」において、2022年11月の公開から2025年7月までのChatGPTの成長と使い方に関する大規模調査のワーキングペーパーを公表した。
この調査はOpenAIの協力の下で、ChatGPTの内部ユーザーデータに直接アクセスした初めての論文であり、きわめて信頼性の高い使用状況が反映されているという。
2025年には世界の成人の約1割が利用
研究チームは、ChatGPTのコンシューマー向けプラン(Free/Plus/Pro)の会話からランダムに抽出したメッセージを対象に、仕事との関連性、トピック、使用意図(Asking/Doing/Expressing)、O*NET(米国労働省が提供する職業情報データベース)に基づく作業活動などで分類した。データは人手での閲覧は行わず、雇用・教育属性との突合はデータクリーンルーム内の集計に限定したとのこと。
この調査によって明らかになった主なトピックとしては、以下が挙げられている。
- ChatGPTの利用規模は急速に拡大し、2025年7月時点で同サービスは世界の成人の約1割に広がり、ユーザー数は7億人を超えると予想されている。送信されたメッセージ数は週当たり約180億件に達した
- 2025年第2四半期の利用率の増加は、4月以降に登録した新規ユーザーによるところが大きい。2025年6月以降、既存ユーザー1人当たりのメッセージ率は横ばいとなっている
- 調査サンプルで性別を明らかにしているユーザーの46%が18歳から25歳だった。週次アクティブユーザーの男女別の割合は、2022年には80%が男性だったのに対して、2025年には女性が52.4%となった
- 仕事以外の用途の比率は2024年6月の53%から2025年6月の73%へ上昇し、同期間の仕事用途の伸びを上回った
- 会話のトピックは「Practical Guidance(実用的助言)」「Seeking Information(情報探索)」「Writing(執筆)」が最も頻出しており、これらだけで約8割を占めている
- 利用意図別の集計では、2025年6月末時点で「Asking(質問)」が51.6%、「Doing(実行)」が34.6%、「Expressing(表現)」が13.8%だが、仕事関連に限定するとDoingが約56%となる
- 2025年6月の仕事関連メッセージのうち、約40%はWritingだった。ただし、Writingの約3分の2はゼロからの生成ではなく、編集・校正・要約・翻訳など既存テキストの手直しを要求していた
- 学歴が高いほど仕事利用の比率が高く、Writing比率も教育水準とともに上がる。一方で、普及の伸びは低中所得国で相対的に大きい
- 全体の利用の45.2%が「情報の取得」「他者への解釈」「記録」の3活動に集中している。さらに「助言提供」「創造的思考」「意思決定と問題解決」「コンピューター操作」を加えた上位7活動で76.9%を占めた
- コーディング関連は全体の4.2%にとどまり、コンパニオン/感情支援的な利用は1.9%程度と小さかった
普及の速さと利用層の広がりは注目すべきポイントだろう。女性比率の逆転や、若年層への普及、非仕事用途の増加は、生成AIが専門家の道具から生活インフラに移ってきたことの現れと見ることができる。仕事利用における中核が、ゼロからの生成でなく編集や要約という点は、仕事の補助的な役割としての地位を築いている証とも言えるだろう。
「助言提供」や「意思決定と問題解決」に利用しているユーザーも一定割合いることから、AIがアドバイザーとしての役割を担っている側面もある。コーディング関連が全体の4.2%にとどまっているのは意外だが、この調査はあくまでもChatGPTのユーザーを対象としたものなので、コーディング支援ツールを含めた調査であればまた違った結果が見られるかもしれない。


