サントリーは8月26日、大阪工場「スピリッツ・リキュール工房」の原料取り扱いエリアを自動化したと発表した。
同工場は、同社工場の中で最も歴史あり、2024年から2025年にかけては、生産能力増強および品質向上に向けて55億円の設備投資を実施し、今年6月に新たな「スピリッツ・リキュール工房」が竣工した。
2023年より技術検証開始
サントリーホールディングスは、開梱、計量、品質確認、タンクへの投入など、工場における原料の取り扱い業務の自動化を目指し、2023年12月より技術検証を本格的に開始。
具体的には、自動化技術を共同開発している安川電機とともに、AIを用いて単一の装置でさまざまな大きさや梱包形態の原料を取り扱う技術の検証を開始。 同技術では、原料を取り扱う際の人間の感覚や判断をデータ化し、それを学習したAIを用いる。AIがリアルタイムで原料の大きさや梱包形態を識別し、つかむ位置や開梱の仕方を判断することで、単一の装置でさまざまな荷姿の原料を的確に取り扱えるようになる。
「スピリッツ・リキュール工房」にロボット導入
「スピリッツ・リキュール工房」で取り扱う原料は、冷凍・乾燥などさまざまで、これまでは人の手で原料投入までのプロセスを実施していた。
今回、安川電機などとの協業により、「スピリッツ・リキュール工房」内に原料運搬ロボット・原料ハンドリングロボットを導入し、倉庫から原料を運搬し投入するまでのプロセスが、自動で対応可能になった。
これにより、人の手による原料取り扱い業務の時間が3分の1となり、年間約2,000時間削減できる見込みだという。
あわせて、単調な繰り返し作業が大幅に減ったことで、現場技術者が得た気づきを中味開発者と議論するなど、現場技術者が原料酒の「つくり込み」に今まで以上に関与可能になるとしている。現場技術者と中味開発者がさらに連携する開発生産一体型工場にすることで、さらなる美味品質の追求と生産性の向上を目指す。

