セゾンテクノロジーは8月22日、都内で説明会を開催し、国内の大手SaaS(Software as a Service)事業者であるウイングアーク1st、エイトレッド、サイボウズの3社と共同でSAPユーザー向けERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)のモダン化を推進していくことを発表した。また、技術パートナーのクレスコ・イー・ソリューションとともに、SAP専用のデータ連携コネクターを共同で開発し、iPaaS(Integration Platform as a Service)「HULFT Square」の新機能として今秋から提供を開始する。
SAP ERP 6.0サポート終了に伴う課題と解決策
国内エンタープライズ企業が利用するERPの中で、多くのシェアを有する「SAP ERP 6.0(ECC 6.0)」は2027年に標準サポートの終了を迎え、管理会計など企業の各業務を支える基幹システム全体の運用が課題となっている。オプションの延長保守サービスが2030年末まで提供されるが、SAP ERPの移行や保守のコストなども含めたシステム設計の検討や実行が急務になっているという。
セゾンテクノロジー 取締役 常務執行役員 営業本部長の石田誠司氏は「SAPのアドオンをどのようにFit to Standardに寄せていくかを、ERPベンダーやユーザーさんは大きな課題と認識している。今後、国産ソフトウェアが成功に導いていけるかが鍵となるため、協業を強化することにした」と力を込めた。
また、同氏はERPの継続利用は一定のタイミングでバージョンアップが発生するほか、自社特有のアドオンなどのカスタマイズによるコストの増加、日本固有の商習慣の継続をはじめ、すべてをERPに寄せたシステム構築になっていると指摘。
そのため、石田氏は「将来にわたりERPを有効活用するためにはアドオンを極小化して将来のバージョンアップを容易にし、入出力など日本固有の処理は国産のソリューションに任せる“オフロード”の施策が必要だ」と述べた。
日本固有の商習慣として「入力・承認」「連携・変換」「出力・分析」において、入力・承認で承認フローなど、連携・変換では外字変換、文字コード変換、2バイト対応など、出力・分析では専用伝票、データ分析などを挙げている。同氏は「これらを作り込むのは負荷がかかる。だからこそ、入出力の部分で当社を含めた国産メーカー各社との連携で解決していく。当社のHULFT Squareをハブにして各システムとの連携でERPの力を引き出す」と話す。
SAPユーザーにおけるERPのモダン化のメリットは、ERP本体の機能アドオンを極力減らして構築し、将来のバージョンアップの負担を軽減できることだという。ERPのローカライズスケジュールに依存することなく、利便性が高く日本の商習慣やデータ構造にも適応する国内事業者のSaaSとiPaaSを採用して疎結合に連携させることで、基幹システムのモダン化を実現できるとのことだ。
ウイングアーク1st、エイトレッド、サイボウズの3社は、BI(ビジネスインテリジェンス)、DWH(データウェアハウス)、帳票、ワークフローや基幹システムの代替など、各社SaaSの機能を生かして既存基幹システムの分野や業務ごとにシステムをオフロードする。
石田氏は「iPaaSを活用すれば、バラバラなシステムやデータを統合して格納できたり、ERP側にシステムを送り込んだりすることができるため、一元管理を基本的に避けることが可能」とメリットを説く。
セゾンテクノロジーは、iPaaSであるHULFT Squareのデータ連携機能で基幹システムのSAPや各社のSaaSとの疎結合の役割を担い、基幹システム群として連携させる。
HULFT Squareと国産SaaSで実現するERPモダン化
データ連携コネクターを共同で開発する、クレスコ・イー・ソリューション 代表取締役社長の後藤聡氏は「当社では共通連携基盤としてHULFT Squareを利用するということに賛同している。お客さまでは、SAPのインタフェースについては個別に構築し、管理しきれていなかったり、同じようなインタフェースが何本もあったりするため、取りまとめる必要がある」と述べている。
また、BIの「MotionBoard」や帳票出力「SVF」などを提供する、ウイングアーク1st 執行役員 マーケティング本部 本部長の久我温紀氏は「今回の発表により、われわれの帳票出力、データ活用の領域は、よりSAPとつなぎやすくなる。ユーザーはさまざまな要件の中で最適なソリューションをSAPの力を引き出した形で提供できるようになる」と説明した。
さらに、ワークフローシステム「AgileWorks」を提供する、エイトレッド 代表取締役社長の岡本康広氏は「ワークフローは業務のハブになり、さまざまな業務、ITサービスとつながり、連携していくことが必要。オフロードする際にもERPの周辺業務、特にワークフローの課題は機能面と価格面にある。当社の製品は同時接続ユーザーライセンスであり、大規模ユーザーでもライセンスコストの負担が低い点はオフロードに活かせる点だ」と強調した。
そして、最後に「kintone」を提供するサイボウズ 執行役員 営業本部長の清田和敏氏は「ERPではカバーできない現場の業務、柔軟性が求められる領域を得意としている。ERPは重要なデータを保有していることから、現場で活用することで効率を向上することが必要となっている。こうした資産を武器にできるようにするとともに、マスタ連携することで課題を解決できればと考えている」と意気込みを語っていた。
なお、これらSaaSとiPaaSを疎結合・データ連携したオフロード構成は、今後ERPのモダン化ソリューションとして、ERP構築のパートナー向けに提供していく予定だ。







