NTTは8月6日、2025年度第1四半期の決算について発表し、説明会を開いた。営業収益は対前年220億円(0.7%)増の3兆2620億円と過去最高を更新した。一方、営業利益は同306億円(7.0%)減の4052億円、当期利益は同144億円(5.3%)減の2597億円で、増収減益の決算。

EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization:税引前利益に特別損益、支払利息、減価償却費を加えた利益)は同139億円(1.7%)減の8014億円。

NTT 代表取締役社長の島田明氏は「為替が予想よりも少し悪い方向には動いたが、おおむね予想通りに進捗した。引き続き確実なコスト削減の実施と法人ビジネスの拡大により、連結計画の達成を目指す」と説明した。

  • NTT 代表取締役社長 社長執行役員 CEO 島田明氏

    NTT 代表取締役社長 社長執行役員 CEO 島田明氏

法人ビジネスは拡大もモバイル通信への投資増加が影響

過去最高を更新した営業収益は、為替の影響により約500億円の減収があったものの、グループ各社の法人ビジネスが伸長し増収を記録した。

営業収益の内訳を事業セグメント別に見ると、総合ICT事業はモバイル通信サービス収入が減少した一方で、金融を中心としたスマートライフ事業や法人事業の成長により対前年133億円の増収。しかし、顧客基盤の強化やネットワーク品質向上のための施策展開に投資したことで、同357億円の減益。

グローバル・ソリューション事業は日本においてはデジタル化需要に対応したが、為替の影響により約500億円の減収があり、最終的に同77億円の減収と、同8億円の減益となった。

地域通信事業ではレガシービジネスの収入減があったが、光サービスと法人ビジネスが伸長し同190億円増収、同62億円増益。光サービスは10ギガプランやマンション向けの全戸一括プランの販売が好調だという。

不動産屋エネルギーなどその他の事業では、データセンターエンジニアリングの拡大などを受け、同129億円増収、同23億円増益。

  • セグメント別の決算概況

    セグメント別の決算概況

NTT版LLMのアップグレード版「tsuzumi2」10月リリース

続けて、島田氏はNTT版のLLMとして展開する「tsuzumi」のアップデート版となる「tsuzumi2」を10月にリリースする予定であることを発表した。

これまでtsuzumiを提供する中で顧客からの要望が多かった、社内業務文書やマニュアルの読解に必要な、複雑な文脈・文意理解を強化している。NTT社内の経理業務においてRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)と組み合わせて使用した結果、前モデルと比較して約4倍の回答精度を達成したという。

「1つのGPUで動作する軽量なモデルでコストパフォーマンスも高く、オンプレミス環境にも対応する純国産のモデルであるため、機密性の高いデータを扱う際にも利用いただける」(島田氏)

  • 「tsuzumi2」を10月リリース予定

    「tsuzumi2」を10月リリース予定

IOWN 2.0による光コンピューティング、2026年に商用展開

次に、大阪・関西万博でのIOWNユースケースについて紹介した。NTTは5月24日~25日のパビリオンデーにおいて、IOWN APNを利用し日本-台湾間でリアルタイム共演を実現し、超歌舞伎 〈CHO-KABUKI〉Powered by IOWN 『今昔饗宴千本桜 Expo2025 ver.』を上演。

また同万博においては、IOWN 2.0による光コンピューティングを活用し、電力消費が従来の8分の1となるコンピュータを実現している。2026年度をめどに、この万博版のコンピュータからさらに通信容量を2倍に向上させた商用版の提供を目指すとのことだ。

  • 大阪・関西万博におけるNTTの取り組み

    大阪・関西万博におけるNTTの取り組み

メタルから光/モバイルを用いた固定電話へ - 2035年までに移行

NTT東日本および西日本のメタル設備を利用した固定電話について、今後の設備の老朽化とコスト効率の悪化を踏まえ、2035年までをめどに光やモバイルを活用したサービスへと段階的に移行する。これまでと同様に固定電話を利用できる環境を整備する考えとのことだ。

なお、代替サービスへの移行においては、十分な周知期間や移行期間を設けて実施するとしている。基本的な方針やスケジュール、消費者保護と円滑な移行に向けた取り組みについては、9月下旬にNTT東日本および西日本から公表される予定。