
今回の参院選が自民、公明両党の歴史的敗北に終わり、今夏以降に予定される社会保障改革にも大きな影響を及ぼすことが必至だ。
社会保険料改革を前面に打ち出した日本維新の会の議席が伸び悩んだ一方、高齢者医療費の負担増を公約に掲げた国民民主党は大きく躍進した。衆参両院で与党が過半数を割り込む異常事態となり、連立政権の拡大や政策ごとの部分連合の形成が不可欠となった。政府・与党がどこまで野党の主張を取り入れるのか胆力が試される。
今夏以降は、診療報酬改定や高額療養費制度の見直し、介護保険制度改革など社会保障分野の改革が目白押しだ。与党の目指す医療・介護従事者の賃上げと、参院選で維新や国民民主が強く訴えた「現役世代の社会保険料負担の軽減」を両立させる必要がある。
厚生労働省幹部は負担と給付がセットであることを強調した上で、「賃上げのために医療・介護の公定価格を引き上げると保険料が高くなる。保険料負担を軽減すればサービスの縮小を伴う。大幅に経済成長しない限り両立できない」と語る。
国民民主は、75歳以上の後期高齢者の医療費負担を原則2割に引き上げる公約を掲げる。しかし、これだけで医療・介護従事者へ十分な賃上げするだけの財源を生み出せず、保険料の軽減にもつながらない。今秋に方向性を打ち出す高額療養費の負担上限引き上げや、市販薬と似たOTC類似薬の保険給付の見直しといったさらなる負担増改革も必要となる。
さらに多くの野党が消費税の減税を求めていることも社会保障の議論を難しくしそうだ。例えば国民民主は「実質賃金が持続的にプラスとなるまで消費税率を一律5%にする」考えだ。
消費税収は社会保障に充てられており、与党関係者は「代替財源なき減税は社会保障サービスのみならず国家財政の信用を著しく傷つける」とクギを刺す。社会保障は国民生活に直結するだけに、与野党が現実的な改革で折り合う姿勢が求められる。