KDDIは8月1日、2026年3月期の第1四半期(2025年4月~6月)の決算について発表し、説明会を開いた。連結業績の売上高は前年同期比3.4%増の1兆4363億円、営業利益は同1.6%減の2725億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同3.3%減の1711億円となった。

  • KDDI 2026年3月期 第1四半期決算概況

    KDDI 2026年3月期 第1四半期決算概況

業務セグメント別に見ると、モバイル(パーソナルセグメントベース)は前年から19億円増、金融エネルギーは同62億円増、ローソン持分法利益は同57億円増、DX(ビジネスセグメント)は同29億円増、技術構造改革は同32億円増と、いずれも増益。主要事業は成長を示した。

一方で、過年度の販促費の影響があり214億円の減益と、その他ステークホルダーへの還元や楽天ローミングの収入減など29億円の減益を計上。代表取締役社長 CEOの松田浩路氏は「過年度販促費の影響のうち73億円は一過性の減益で、期初に織り込み済みのものであり、想定に対して着実に進捗した」と説明した。

  • KDDI 代表取締役社長 CEO 松田浩路氏

    KDDI 代表取締役社長 CEO 松田浩路氏

パーソナルセグメントは新プランにより好調な発進

パーソナル向けとビジネス向けを合算したモバイル収入は、前年同期比で76億円増の5506億円。通信ARPU(Average Revenue Per User:ユーザー当たりの平均売上高)は同60円増の4340円、稼働数も45万台増加し3291万台となった。

パーソナル向けのモバイル収入に着目すると、同23億円増の4905億円。通信に付加価値を乗せることで、下期以降の成長を見込んでいるという。auおよびUQ mobileのブランド間移行と解約率はトレンドを改善し、今後の経済好循環が期待できる。

パーソナル向け通信は新プランが好調だ。「au 5G Fast Lane」「au Starlink Direct」「au海外放題」など、新たな通信の価値を体感できるデータ使い放題プラン「auバリューリンクプラン」や「使い放題MAX+」を選択するユーザー(新規契約+機種変更)が約8割に達するなど、安心感のある大容量プランが好評。

UQ mobileは大容量プランに相当する月35ギガバイトまでの新プラン「コミコミプランバリュー」を選択するユーザー(新規契約+機種変更)が約4割だという。

  • モバイル収入は大容量の新プランが順調

    モバイル収入は大容量の新プランが順調

同社はさらなる「つながる体感」の提供に向け、5G SA(stand-alone)の本格展開にも注力する。これまでにSub6帯の基地局を4.1万局開設したほか、2周波数に対応するSub6基地局を運用し、設置効率と通信速度2倍を記録。「au 5G Fast Lane」は混雑時でも快適な通信が強みであり、山手線内で従来サービスと比較した通信速度は約1.9倍。

4月に提供を開始した「au Starlink Direct」はユニークユーザーが100万人を突破した。7月にはStarlink衛星からの電波が追加発射され、SMS送受信にかかる時間が4倍速くなった。また、Android端末ではメッセージ内で写真や動画の送受信も可能となっている。今夏には一部対象機種でデータ通信を提供開始予定。これにより、YAMAPやウェザーニュースなどのアプリを利用できるようになる。

サービス改定に伴うマルチブランド設計も順調だ。auの付加価値を向上したことでUQ mobileとのブランド間移行トレンドが改善し、UQ mobileからauへの移行率が前年同期比で1.4倍まで拡大している。また、auの解約率も低水準で推移しているという。

  • マルチブランドの再設計が奏功した

    マルチブランドの再設計が奏功した

ビジネスセグメントは下期の事業拡大が待たれる

法人向けとなるビジネスセグメントでは、売上高は前年同期比4.5%増の3497億円。その内訳は、通信事業を主体とするベース領域が2.5%(39億円)増の1584億円、付加価値によるグロース領域が6.2%(111億円)増の1914億円だった。予測に対し後れを取った状況だ。

ベース領域はモバイル収入が成長した一方で、グロース領域はアルティウスリンクの統合進捗の遅れとデジタルBPO案件の進捗下振れが影響した。

  • ビジネスセグメントの業績

    ビジネスセグメントの業績

グロース領域で今期中の進捗を回復するため、各業界で需要が増加しているセキュリティとIoTに注力するという。セキュリティ事業ではラックを子会社化しており、KDDIが持つネットワーク運用と組み合わせたデジタル化支援サービスを展開する。なお、両社は7月からはグローバルでの本格展開も発表している。

  • グロース領域の進捗

    グロース領域の進捗

IoT関連サービスにおいては、AIにまつわる需要増に向けて回線数を増加させており、累計回線数は前年同期比で19.5%増となる5320万回線だ。製品と通信を一体で提供する「ConnectIN」は対応PCが30機種を超え、特に自治体向けにGIGAスクールでの採用が進んでいるという。

次の成長に向けてデジタルデータとAI活用を強化

KDDIは今後の成長に向け、AIを軸としたDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速する。その中でネットワーク事業においては、膨大なトラフィックを支えるために、「ネットワーク for AI」と「AI for ネットワーク」の双方向からの取り組みを推進する。

「ネットワーク for AI」はその名の通り、Ai活用に向けた仮想化ネットワークの高度化やネットワークオープン化など強固かつ柔軟なネットワークを構築し、AMDやDRIVENETSなどパートナー企業と共に取り組む。

反対に「AI for ネットワーク」は、AIを活用してネットワーク運用を効率化・高度化する取り組みだ。AIを活用した障害予測と迅速な復旧や、自然言語で制御可能なネットワーク運用などがその例となる。後者は実証実験を完了し、今後段階的に商用実装される予定。

  • ネットワーク構築に向けたAI活用

    ネットワーク構築に向けたAI活用

また、AIそのものの基盤となるデータセンターについては、今期の稼働開始が予定されている大阪堺AIデータセンターにおいて、Hewlett Packard Enterprise(HPE)と連携したサーバの導入が予定されている。2027年秋には多摩地区で「Telehouse TOKYO Tama 5-2nd」が稼働開始予定だ。

こうしたインフラの上で稼働するAIも、サービス化が進められている。ELYZAが医療業界に特化したLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)を開発したほか、o1-miniに匹敵する性能の推論モデルも開発している。今後はAIサービスの普及に向け、具体的なソリューションを準備するとのことだ。

  • AI基盤の構築も進める

    AI基盤の構築も進める

また、KDDIとローソンは高輪ゲートウェイに「Real×Tech LAWSON」1号店と、KDDI社員向けとなるオフィス環境特化の実験店舗を相次いでオープンした。オフィス環境特化の実験店舗ではスマホレジを導入し、1日に平均1000人が利用しながらもレジの待ち時間をゼロとしたことで店内の平均滞在時間は2分ほどに抑えられているという。また、オフィス内を巡回し軽食や菓子を販売するロボットは1日60人から80人のKDDI社員が利用し、2万円ほどの売上が生じているそうだ。

  • ローソンにおける実証実験も進められている

    ローソンにおける実証実験も進められている