MetaMoJiは、建設現場向け施工管理アプリの新製品「eYACHO Ver.7」を2025年9月上旬から発売する。今年は、2015年8月にeYACHOを発売してから10年目の節目を迎えており、新製品は、4年ぶりのメジャーバージョンアップとなる。

建設現場向け施工管理アプリ「eYACHO」の変遷

今回、新たに工事写真の自動整理機能などを搭載した「工事写真管理」、測定器をダイレクトに帳票に反映するために、関電工の測定記録支援システムであるBLuEと連携する「計測機器連携」、質問を入力するだけで、操作方法を提示する「AIヘルプ」、現場地図や安全指示事項をワンボタンで、サイネージに表示する「デジタルサイネージ連携」などの機能を追加する。

MetaMoJi 代表取締役社長の浮川和宣氏は「10年の節目を迎えたeYACHOの開発のきっかけは、アップルのiPadである。現場に持ち込むことができる初めてのコンピュータになると直感し、それに向けて手書き日本語ワープロの7notesと、日本語手書き入力IMEのmazecを開発した。その後、大林組との関係強化により、建設現場に最適なアプリとして、紙の野帳に代わるeYACHOを開発した」と振り返った。

  • MetaMoJi 代表取締役社長の浮川和宣氏

    MetaMoJi 代表取締役社長の浮川和宣氏

そのうえで、同氏は「今回の新製品では、日々の業務に根ざした使いやすさに加えて、AIの力を取り入れた新たな価値の提供を目指している。『考える現場』を支える製品であり、次の10年の進化につなげていきたい」と抱負を述べた。

eYACHOは、これまでに約600社への導入実績を持ち、約8割が建設業だ。同社によると、2018年には大手・中堅が45%を占め、地方・地場が55%だったものが、2024年度の実績では地方・地場が76%にまで拡大。さらに、ゼネコンが59%から36%へと縮小したのに対して、サブコンやプラントが41%から64%へと拡大。設備製造業やメンテナンス企業などを含めて、建設業界全体に利用が広がっている。

  • 導入企業種別・割合の推移

    導入企業種別・割合の推移

また、2015年の発売当初は、建設現場で利用される野帳をデジタル化した「デジタル野帳」と位置づけ、現場が移行しやすいようにスタンドアロンで利用できることにこだわっていたが、その後はクラウド対応やシェア機能の搭載、セキュアな状態を維持しながらも協力会社でも利用できるように進化。

さらに、工事写真への対応、図面縮尺機能やピン機能の搭載、承認機能の強化、ビデオ通話の搭載などによる機能強化を進め、現在では、総合的な施工管理アプリへと位置づけられるアプリへと進化。さらなる適用業務の拡大に取り組んでいるところだという。

同社によると、eYACHOの利用範囲はデジタル野帳としての現場記録だけでなく、工事進捗管理、朝礼・昼礼資料作成、写真管理、台帳作成、図面チェック、現場配置図作成、設備点検記録、クレーン作業計画のほか、安全パトロールや是正指示、設備点検記録、リスクアセスメント、遠隔臨場、日報・月報など、多岐にわたる。

  • eYACHOの適用業務も広がりつつある

    eYACHOの適用業務も広がりつつある

「紙のような手書き、リアルタイムでの書き込み共有といった機能に加えて、現場ごとに帳票が異なる環境においても自由度の高い帳票作成が可能である点が評価されている」という。現在は、iPadでの利用のほか、Windows対応やAndroid対応も図っている。

メジャーバージョンアップの概要

今回のメジャーバージョンアップでは、多様な現場規模や、地域の建設現場にも定着していることを背景に、幅広い顧客ニーズに対応。業種や業態の現場業務を、より効率化および高度化できる新機能を搭載した。

同社は「eYACHO for Business 7は、今後、DXの推進を加速する地方・地場ゼネコンやサブコン向けの機能を強化したほか、大手企業および中堅企業向けには、膨大なデータへの対応や、管理機能の強化により、安定性と運用性の向上を図っている」とする。

eYACHO 7で搭載した新機能は次の通りだ。工事写真管理では、工事写真の自動整理機能を新たに搭載。ノート内の工事写真を一覧で表示したり、工事写真帳を簡単に作成したり、工事写真を一括保存するといったことが可能だ。

従来は、個別に写真管理ソフトなどを利用していたケースが多かったが、中小企業などでは複数のソフトを利用するための投資を控える傾向がある。eYACHOに工事写真管理機能を搭載してほしいという声に対応し、新たに搭載したという。

計測機器連携では、関電工の測定記録支援システム「BLuE」との連携機能を搭載。簡単な操作で、測定値をダイレクトにeYACHO帳票に反映する。主にサブコン向けの機能で照度計や風速計、絶縁抵抗器をはじめとした計測機器と連携することで、計測結果を紙に出力して、入力することがなくなり、検査報告の作成を効率化できる。入力の手間をなくし、転記ミスも削減できるとのこと。

  • 工事写真管理と計測機器連携の概要

    工事写真管理と計測機器連携の概要

AIヘルプは、AIのナビゲートによって、現場の作業者が、マニュアルを参照することなく、操作ができるようになる。AIエンジンは、マニュアルやMetamojiが蓄積した事例など、eYACHOに関して学習しており、自然な文章で質問を入力するだけで、該当するマニュアルにリンクしたり、事例をもとに回答したりする。社内ヘルプデスクを持たない中小企業などでの利用に適しているいう。

デジタルサイネージ連携は、現場配置図や安全指示事項など、現場での掲示が必要な情報を、eYACHOを通じて作成し、外部データ連携機能により、ワンボタンでサイネージに表示する。忙しい現場において、簡単な操作で、対象のサイネージに必要な情報を表示することができるとしている。

  • AIヘルプとデジタルサイネージ連携の概要

    AIヘルプとデジタルサイネージ連携の概要

アップデートされた機能群

一方で、機能のアップデートも行っている。安全AIソリューションは、労働安全衛生総合研究所と共同研究を進めてきたもので、企業内に蓄積された労災報告書などのデータから、高精度に安全リスクの評価ができるAIモデルを構築し、リスクを自動判定する機能だ。

データをもとに予測される災害を独自のDynamic Checklistとして生成し、現場での安全対策につなげることができ、新たに生成型と厚生労働省の公開データ版を統合。インタラクティブモードを搭載し、リスクアセスメント実施時に深い検討を行うことが可能になったほか、ワークシート帳票を標準搭載し、検討結果を補足資料として活用して、安全衛生管理の強化が可能になるという。

  • 安全AIソリューションの概要

    安全AIソリューションの概要

また、レイヤー操作では、レイヤーの表示や非表示、カレントページの設定が一括で可能になっており、大量のページがあっても作業を一気に完了できる。

ビデオ通話機能の「GEMBA Talk」では、新たにAndroidにも対応することで、iPadを持たない協力会社でも利用ができるほか、USBカメラの利用を可能にしたことで、配筋の奥といった細部を確認しながら、遠隔での打ち合わせを可能としている。

さらに、フォルダ管理強化および高速化にも対応。細分化した管理を可能にして、利便性を向上することで運用負荷を軽減するとともに、同期対象を使うデータだけに絞り込むことで、使いはじめの高速化を実現したという。

今後の機能強化

今後の機能強化についても発表した。2026年1月には設計部門向けの機能強化として、図面縮尺設定や定規機能を強化するほか、MetaMoJi CloudにおけるサーバAPIを公開する計画を発表。

基幹システムからのAPI呼び出しにより、ユーザー追加の自動化や、基幹システムからPDFを送付することにより、シェアノートを自動作成できるようになる。さらに、2026年4月にはBIM/CIMデータの活用を行えるようにする。

また、同社では「考える力を支援」するという方向性を打ち出しており、現場の危険予知だけでなく、より上流でのリスクアセスメントによって実現する次世代安全AIを開発する方針を示す。

具体的には、リスク把握、関連知識収集、候補生成、結果生成といったリスクアセスメントに関わる作業を、AIエージェントを活用して自動実行する仕組みを構築することを目指す。

  • 「考える力を支援」する仕組み

    「考える力を支援」する仕組み

同社では「関連情報を横断的に提示することで、ユーザーの知識や理解をより一層広げることになる。 叩き台という形で、AIによる多様な案を提供し、ユーザーには、現場の特性に基づくリスクの発見や、対策の具体的検討に集中してもらう。これが、『考える力を支援』するポイントになる」とした。