ElevationSpaceは、2030年代の有人宇宙輸送の実現に向けてビジョンを刷新し、“2040’s Vision”「軌道上のヒト・モノをつなぐ交通網を構築する」を7月29日に発表。地球に帰還可能な再突入機から、軌道上拠点への物資・有人輸送や軌道間輸送へと事業領域を拡張し、軌道上交通網の構築に挑戦していく。
新しいビジョンは、地球と宇宙を一方通行ではなく双方向につなぎ、地球上の経済と宇宙の経済が循環するエコシステムをつくることを意味している。同社では2040年には、地球・月・火星、そしてその軌道上に多様な拠点が存在し、地球軌道上には微小重力環境を活用した宇宙環境利用の中心地として、研究・産業・居住・観光など多様な都市機能が展開。地球と軌道上を高頻度にヒトとモノが行き交う世界を描いているという。
こうした未来を築くための第一歩として同社が位置づけるのが、日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」(2026年後半以降に打ち上げ予定)であり、無人宇宙環境利用・回収プラットフォーム「ELS-R」、有人拠点からの高頻度物資回収サービス「ELS-RS」だ。再突入技術を軸に、地球と宇宙の間に双方向の循環を生み出す仕組みを実装するため、軌道上拠点への物資・有人輸送や軌道間輸送へと事業領域を拡張し、軌道上交通網の構築に挑戦するとしている。
ElevationSpaceでは、現在取り組んでいるELS-RおよびELS-RS事業を通じて、コア技術である再突入・回収技術の成熟を進めるとともに、有人宇宙機に必要なランデブー・ドッキング技術や、安全性を確保するための各種有人技術を獲得。
軌道上拠点への国産有人宇宙機の実現に向け、今後は国内外の関係機関や企業との連携を通じて、ECLSS(環境制御・生命維持システム)やマンマシンインタフェースなど、有人宇宙機に求められる要素技術の習得をめざし、モックアップ製作等を含む実践的な技術開発に取り組む。
同社が構想する有人宇宙機は、少人数を軌道上拠点へ柔軟に輸送できる、機動性の高いカプセル型宇宙機で、ELS-R/RSで培った再突入・回収技術をベースとした信頼性の高いカプセル型有人輸送システムを実現し、安全性と再使用性の両立を可能にするとのこと。