
総務省は、ふるさと納税の返礼品に関する基準に違反したとして、長野県須坂市と岡山県吉備中央町を制度の対象から除外した。両市町は6月17日から2年間、対象自治体の指定を取り消され、制度に基づく寄付を受けられない。
須坂市は、返礼品を地場産品に限る基準に違反。返礼品のシャインマスカットについて、仕入れ業者が産地を偽装しているのを知りながら寄付の募集を続けていた。吉備中央町は、返礼品のコメの調達費が法律で定める基準を超過していた。生産者に支払っていた「奨励金」が調達費に含まれるとみなされた。
ふるさと納税は、返礼品を「寄付額の3割以下の地場産品」に限定し、基準を満たす自治体を指定する仕組み。村上誠一郎総務相は記者会見で「ふるさと納税制度に対する信頼を損ないかねないものであり、大変遺憾だ。各自治体に対し、改めて指定基準の順守を求めていきたい」と述べた。
こうした中、総務省は、返礼品の地場産品のルールを厳格化。他地域で生産された製品を返礼品とする場合、加工などにより、自治体内で一定の価値が生じたことを証明するよう求める。2026年10月から適用する方針。
他地域産品でも自治体内で加工などがされていれば返礼品として認めてきたが、実際には自治体のロゴを表示しただけだったり、小売価格よりも高額で調達されたりするケースがあったことを問題視。他地域産の「ゆるキャラ」グッズを返礼品とする場合は、直近1年間で自治体が広報目的で配布や販売を行った実績を提供数の上限とする。
ふるさと納税は、自分の出身地や応援したい市町村などの自治体に寄付すると、その額から2000円を除いた部分が所得税や住民税から差し引かれる制度。寄付額に応じた返礼品を目当てに行われることが多い。
総務省は、自治体間の過度な返礼品競争に歯止めをかけるため、ルールを見直してきた。25年10月からは、仲介サイトでの寄付者へのポイント付与が禁止される。