
ビール会社大手4社(各社物流会社のアサヒロジ、キリングループロジスティクス、サッポログループ物流、サントリーロジスティクス)は物流会社T2が開発した自動運転トラックを用いて、関東から関西までの高速道路でそれぞれの製品を配送する実証実験を開始する。
27年10月からの完全無人のレベル4自動運転に向けて、今年7月から半年間、友人のレベル2で自動運転の実証を行う。自動運転中に乗車するドライバーはハンドルに手を添えるのみの運転で、有事の時に対応する。
今回開発した10トン自動配送トラックで、例えば往路はキリンの『一番搾り生ビール』を運び、復路はアサヒの『アサヒスーパードライ』を運ぶといった形。トラックは高速道路の出入口隣接地で有人から無人の切り替えを行い、将来的に高速道路上を完全無人で走ることを目指す。
これまでドライバーが1日走行できるのは片道のみであったが、完全自動運転が実現されれば、将来的に輸送能力を2倍に高めることができるという。
T2によれば、物流の人手不足「2024年問題」は今後更に深刻化し、このままでは30年に全体の輸送能力が34.1%不足する可能性があるという。その課題解決の1つとして無人の自動配送を可能にするため、2年間で安全面や品質への影響など様々なデータを蓄積したい考え。
各社代表は「業界全体で協力し取り組んでいく」(アサヒロジ社長の児玉徹夫氏)、「4社のこれまでの知見、ナレッジを出し合う」(キリングループロジスティクス社長の小林信弥氏)、「業界全体の物流課題解決のスピード感を高めたい」(サッポログループ物流社長の服部祐樹氏)、「4社が協力することで経済効果も早期に見込める」(サントリーロジスティクス社長の髙橋範州氏)とそれぞれの思いを語る。
ドライバー不足という社会課題はいよいよ業界トップ企業の競合同士で協力せざるを得ない状況まで来た。全産業界共通課題の物流問題。他業界の先行事例となり得るか、この半年間の実証実験にかかっている。