アプリ作成AIを試用するための操作手順

2025年4月、手軽に業務アプリを作れるクラウドサービス「kintone」にもAI機能が実装された。以前「検索AI」を試してみた様子を紹介したが、今回はAIと会話(チャット)するだけでkintoneアプリを作成できる「アプリ作成AI」について紹介していこう。

まずは、「アプリ作成AI」を有効にするときの操作手順から紹介する。「アプリ作成AI」を利用するには、以下の手順で設定を済ませておく必要がある(※1、※2)。

(※1)kintoneの「システム管理者」の権限を持つユーザーで設定作業を行う必要があります。
(※2)「アプリ作成AI」を利用するには、スタンダードコース(アカデミック・ガバメントライセンス、チーム応援ライセンスを含む)またはワイドコースを契約している必要があります。ライトコースまたは試用中の場合、「アプリ作成AI」を利用することはできません。

(1)kintoneを起動し、「歯車」アイコンから「kintone AI管理」を選択する。

  • アプリ作成AIの有効化(1)

(2)「kintone AIを有効にする」のチェックボックスをONにし、さらに「アプリ作成AI」のチェックボックスをONにする。その後、「保存」ボタンをクリックする。

  • アプリ作成AIの有効化(2)

これで「アプリ作成AI」が有効化され、AIを使ったアプリの自動作成を行えるようになる。続いては、「アプリ作成AI」を起動するまでの操作手順を紹介していこう。アプリの一覧にある「+」をクリックして、新しいアプリの作成を開始する。

  • 新しいアプリの作成(1)

アプリの作成方法を選択する画面が表示されるので、「はじめから作成」をクリックする。ここまでの操作手順は、普通にkintoneアプリを作成する場合と同じだ。

  • 新しいアプリの作成(2)

アプリの編集画面が表示されたら「AI」アイコンをクリックし、「アプリ作成AI」を選択する。

  • アプリ作成AIの起動

以上で「アプリ作成AI」の起動は完了。あとは、作成したいアプリの内容をAIに伝えていくだけ。それでは、実際に試してみた様子を紹介していこう。

AIを使ったアプリの作成例(1)

「アプリ作成AI」を起動すると、新しいウィンドウにチャット画面が表示される。ここに作成したいアプリの内容を入力する。今回は例として、《新商品の説明会に参加した人に向けてアンケート調査を行います。その回答を管理するアプリを作成してください。》とAIに依頼してみた。

  • 作成したいアプリの概要を説明

すると、AIから3つの質問が返された。それぞれの質問を要約すると、以下のような感じになる。

<AIから質問された内容>
1.アンケートには、どのような設問が必要ですか?
2.アンケート回答者の情報は必要ですか?
3.説明会は定期的に開催されますか?
 (説明会ごとに回答を区分する必要はありますか?)

今回の例では、これらの質問に対して以下のように回答を入力した。

<回答として入力した内容>
1.商品への関心度、購入予定、改善点・疑問点など
2.社名(店舗名)、氏名、連絡先
3.説明会は、7/7、7/14、7/22の3回実施

  • アプリ作成の関する質問と回答

すると、アプリに必要な項目(フィールド)をAIが提案してくれた。この提案に従ってアプリを作成するときは、「この内容をフォームに反映」をクリックすればよい。

  • 提案されたアプリの内容

フォーム画面にフィールドが配置され、フィールド名などが自動設定される。このように、作成したいアプリの内容をAIに伝えて、いくつかの質問に回答するだけでアプリを自動作成してくれる機能が「アプリ作成AI」となる。

  • AIにより自動作成されたアプリ

さらに、自動作成されたアプリを修正していくことも可能となっている。先ほど自動作成されたアプリをよく見ると、「連絡先」というフィールドが配置されているのを確認できる。AIからの質問に「2.社名(店舗名)、氏名、連絡先」と回答したのだから、「連絡先」というフィールドが配置されていても文句は言えないが、このままでは使い勝手が悪い。

そこで、先ほどのチャットに続けて、《「連絡先」を「メールアドレス」と「電話番号」に変更して欲しい》とAIに依頼してみた。

  • 自動作成されたアプリの修正依頼

依頼をもとに、アプリに配置する項目をAIが再提案してくれる。これをアプリ(フォーム画面)に反映させたいときは、再度「この内容をフォームに反映」をクリックすればよい。

  • 新たに提案されたアプリの内容

ページの再読み込み(リロード)を促す画面が表示されるので、指示に従って「再読み込み」ボタンをクリックする。すると、フォーム画面が自動修正され、「連絡先」の部分が「メールアドレス」と「電話番号」に修正されるのを確認できる。

  • AIにより自動修正されたアプリ

あとは、各フィールドの配置を調整するだけ。これで、以下の図に示したようなアプリを作成できる。

  • フィールドの配置を調整

このように、AIと会話を繰り返すことでアプリを仕上げていくのが「アプリ作成AI」の基本的な使い方となる。ある程度の指示は必要になるが、AIが自動的に設定してくれる部分も多いため、作業の軽減・効率化に大きく貢献してくれるだろう。

例えば、先ほど示した例の「商品への関心度」フィールドには、「非常に高い/高い/普通/低い/非常に低い」といった選択肢が自動設定されている。「購入予定」のフィールドも同様だ。こちらは「必ず購入する/おそらく購入する/検討中/おそらく購入しない/購入しない」といった選択肢が自動設定されている。これらの選択肢はAIが用意してくれたものであり、こちらが指示したものではない。

そのほか、「フォローアップ状況」や「フォローアップメモ」のように、便利に活用できそうなフィールドも提案してくれる。このため、自分だけでは思いつかなかった使い方を発見できる場合もある。

もちろん、自動作成されたアプリをベースに手作業でアプリを修正していくことも可能だ。各フィールドの修正手順は、普通にアプリを作成する場合と同じ。各フィールドの「歯車」アイコンから「設定」を選択し、設定画面を呼び出せばよい。

  • 「説明会日」フィールドの設定

なお、上図を見るとわかるように、フィールドコードには適当な英語が自動指定されるようだ。これを日本語に変更したい場合は、AIに《フィールドコードを日本語にして》を依頼すればよい。これで日本語のフィールドコードが自動指定される。自分でひとつずつ修正していく必要はない。

今回の結果で唯一、残念だった点は、「メール」と「電話番号」が文字列(1行)のフィールドで作成されていたこと。これらはリンクとして作成した方が使い勝手がよくなる。この問題も、《「電話番号」と「メールアドレス」はリンクで作成して欲しい》とAIに依頼することで解決できるが、できることなら「最初からリンクで作成してほしかった」と感じた。

ほかにも似たような問題はあるかもしれないが、「まだ試用が始まったばかりのAI」と考えれば、いずれ学習を積み重ねていくことで自然と解消されていく問題なのかもしれない。よって、もう少し様子を見るべきであろう。

AIを使ったアプリの作成例(2)

アプリの作成例が一つだけでは寂しいので、もう一つ例を紹介しておこう。今度は、《出張の申請を行うためのアプリを作成して》とAIに依頼した例だ。今回もAIから3つほど質問が返されたので、以下の図のように回答した。

  • アプリ作成依頼と質問への回答

なお、この回答では「出張期間」を間違えて「出張機関」と入力しているが、この程度のミスなら問題なく対処してくれるようだ。こういった点も「AIならではの便利さ」といえるだろう。

AIから提案されたアプリの仕様は以下の図の通り。「この内容をフォームに反映」をクリックしてアプリを作成する。

  • 提案されたアプリの内容

その後、自分で「スペース」を配置しながらレイアウトを整えると、以下の図のようなアプリに仕上げることができる。

  • 自動作成されたアプリのレイアウトを調整した様子

このように、さまざまなアプリの作成をAIに依頼することが可能である。状況によっては、AIからの質問なしで即座にアプリの仕様が提案されるケースもある。

先ほど紹介した例の課題を挙げるとすると、「概算経費合計」に計算式が自動入力されていないことが悔やまれる点となる。「概算交通費」+「概算宿泊費」の計算式を自動設定してくれると便利なのだが、単に数値フィールドとして作成されてしまっている。

自動計算するようにAIに依頼しても、「自動計算機能は開発中であり、使用できない状態です。」と返答されてしまう。よって、執筆時点(2025年6月)では、まだ計算式の自動設定には対応していないようだ。こちらは今後の改善に期待したいところである。

そのほか、「申請中/承認済み/否認」などの選択肢が用意された「ステータス」も用意されているが、プロセス管理(ワークフロー)は自動設定されない。こちらは2025年7月に「プロセス管理設定AI」という機能の提供が開始されるので、そちらで自動設定できるようになると思われる。

どのような場面でAIは便利に活用できるのか?

まだ短い時間しか試用していないが、ここで「アプリ作成AI」の使い勝手について簡単に感想を述べておこう。依頼した通りのアプリを一発で作成してくれるかはケース by ケースとなるが、概ね想定していたアプリを作成してくれるようだ。まったく見当はずれなアプリを提案されることは一度もなかった。もちろん、各ユーザーのAI技能(適切なプロンプトを入力できるか?)にも大きく影響を受けるだろう。

「今後、どのように活用していくか?」の指針としては、筆者は以下のように考えている。

フィールド数が5個以下のアプリ

この程度のフィールド数であれば、わざわざ「アプリ作成AI」を起動するのではなく、普通に手作業でアプリを作成したほうが快適に作業を進められる。

フィールド数が10個以上のアプリ

自分でゼロから作成してもよいが、「フィールド名を入力する」「単位を指定する」「選択肢を入力する」などの手間を考えると、とりあえずAIにアプリを作成してもらい、それをベースに手作業で完成形に修正していくほうが、最終的には短時間でアプリを作成できると思われる。

フィールド数が5~10個程度のアプリ

上記2つの中間になるため、状況に応じて「手作業」または「AI」のどちらを選択するか判断する。もちろん、フィールド数が5個とか、10個といった基準は大雑把な目安でしかない。

結局のところ、作成したいアプリの「構成が明確になっているか?」と「設定に手間がかかるか?」を天秤にかけながら、AIを利用するかを判断すると思われる。今後、AIに慣れてプロンプトを効率よく指定できるようになれば、AIを使用する機会が増えていくだろう。

AIを使ったドロップボックスの作成

最後に、「アプリ作成AI」の応用的な使い方を紹介していこう。以下の図は、アフタサービスの内容を記録するアプリを作成している様子だ。データを都道府県で分類できるように、「都道府県」と「住所」を別のフィールドで作成している。なお、このアプリはAIに作成を依頼したものではなく、従来と同じように「手作業で作成したアプリ」となる。

  • 編集中のアプリ

現時点では「都道府県」を文字列(1行)のフィールドで作成しているが、これをドロップダウンに変更したいとしよう。特に難しい問題ではないが、これを実現するには「北海道、青森県、岩手県……、鹿児島県、沖縄県」といった選択肢を47個も手入力しなければならない。これは面倒な作業といえる。また、誤入力やヌケなどのミスを犯してしまう危険性もある。

ということで、この作業をAIに代行してもらう方法を紹介しておこう。

(1)ブラウザに「新しいタブ」を開き、こちらにもkintoneの画面を表示する。
(2)新規アプリの作成を開始し、「アプリ作成AI」を起動する。
(3)AIに《都道府県のドロップボックスを作成して》と依頼する。
(4)提案された内容を確認し、「この内容をフォームに反映」をクリックする。

  • AIで「都道府県」のドロップボックスを作成

(5)「都道府県」というフィールドが自動作成されるので、このフィールドの設定画面を開く。

  • AIにより自動作成された「都道府県」フィールド

(6)このフィールドには、選択肢として「北海道、青森県、岩手県、……」といった項目が並んでいる。この部分をマウスでドラッグして選択していく。

  • 自動設定された項目をドラッグして選択

(7)「……、鹿児島県、沖縄県」まで選択できたら、Ctrl+Cキーを押して、これらのテキストをコピーする。

  • 選択した項目のコピー

(8)元のアプリ編集画面(元のタブ)に戻り、「ドロップダウン」フィールドを追加する。 (9)追加した「ドロップダウン」フィールドの設定画面を開く。

  • 「ドロップダウン」フィールドの作成

(10)フィールド名を「都道府県」に変更する。 (11)「sample2」の項目を削除する。

  • フィル―ド名の指定と項目の削除

(12)「sample1」の文字を削除し、一度テキストボックスの外をクリックする。 (13)テキストボックスをクリックし、先ほどコピーした内容をCtrl+Vキーで貼り付ける。

  • コピーされている内容を貼り付け

(14)「北海道、青森県、岩手県、……、鹿児島県、沖縄県」の選択肢を指定できる (15)必要に応じてフィールドコードを指定し、「保存」ボタンをクリックする

  • 貼り付けられた項目

上記のように作業を進めていくと、自分で選択肢を入力しなくても「都道府県」のドロップダウンを作成できるようになる。その後、文字列(1行)で作成していた「都道府県」フィールドを削除し、レイアウトを調整するとアプリの完成となる。

以下の図は、この手順で作成したアプリのデータ入力画面を開いた様子だ。「都道府県」の選択肢が正しく設定されていることを確認できるだろう。

  • ドロップボックスの選択肢

もちろん、「都道府県」以外の選択肢をAIに自動作成してもらってもよい。例えば、以下のような選択肢を自分で入力することなく作成することが可能となる。

  • 年齢(10代以下、20代、30代、40代、50代、60代、70代以上)
  • 生年(1943年、1944年、1945年、1946年、1947年、1948年、……)
  • 職業(会社員、自営業、学生、主婦・主夫、パート・アルバイト、無職、その他)
  • 職種(営業、エンジニア、デザイナー、マーケティング、人事、経理、総務、その他)・投資経験(未経験、1年未満、1-3年、3-5年、5-10年、10年以上) 同様の手順で「チェックボックス」や「ラジオボタン」の選択肢を指定することも可能だ。選択肢を自分で入力するのが面倒な場合、もしくは「どのように分類したらよいか判断できない」といった場合などに活用できるだろう。

このように、パーツの作成に「アプリ作成AI」を応用する方法もある。工夫次第で便利に活用できるので、気になる方はいちど試してみるとよいだろう。