JFEスチールと日立製作所は7月10日、JFEスチールが展開する製造業向けソリューションビジネス「JFE Resolus(レゾラス)」の拡大に向け、両社の強みを掛け合わせることを目指し協創を開始したことを発表した。
日立の“実践知”をJFEスチールへ初適用
JFEスチールは、鉄鋼製造で培った技術や操業・研究ノウハウを活かし、高付加価値品の製造や設備保全の高度化、環境負荷低減に資する技術やデジタル技術を組み合わせた“トータルソリューション”として、鉄鋼業をはじめとする製造業全般へと積極的に提供するソリューション型ビジネスモデルの拡大を目指しているとのこと。この取り組みに関しては、すでに国内外での技術協力先が広がっているという。
一方で日立は、長年にわたる事業ポートフォリオ改革の中で全社をあげて注力してきた「Lumada」事業を通じて得た自社における事業変革ノウハウ(実践知)をもとに、事業変革を支えるデジタル組織の要件や実践手法を再現可能なメソドロジーとして体系化し、社会への実装を広げているとする。
そんな両社はこれまで、冷間圧延工程における自動制御システムを協創するなど実績を重ねてきた。また2025年5月からは、JFEスチールがソリューションビジネス拡大に向けて直面する「顧客視点のサービス設計と導入・商品化」に関する課題に対応するため、両社メンバーによる検討チームでの緊密な連携のもと、日立のメソドロジーを活用して構想の具体化とアクションアイテムの策定を行ってきたという。
それらの取り組みでは、日立が有する営業と上流エンジニアリングとの連携方法、過去事例の検索や担当者との直接のコンタクトや、ソースコード、ドキュメント、開発環境およびナレッジなどを共有できる仕組みおよび方法論(Lumada Solution Hub・Lumada Playbook)を活用してきたとのこと。そして今般はその関係性をさらに発展させ、JFEスチールのソリューションビジネス拡大をさらに加速させるものだとした。
今回の取り組みにおいて、日立は、Lumada事業を通じて培われたソリューション創出・展開の経験や事例などの“実践知”を体系化し、JFEスチールのソリューションビジネスに適用することで、そのビジネスの構想から実行までの伴走型支援を行うという。これにより、鉄鋼製造で培われたJFEスチールの技術やノウハウに日立の実践知を掛け合わせ、Resolusの進化・高度化を加速し、製造業全体の社会課題解決を一層強化していくとのことだ。
両社は今後、日立が構築してきたナレッジ基盤や人財育成のノウハウを活かして、JFEスチール社内の知見を可視化・再利用・横展開することで、ソリューションビジネスの高度化と持続的成長を支える仕組みづくりを進めていくとしている。