Avast Softwareは年7月8日(米国時間)、「Family first: fighting scams together」において、高齢のオンラインユーザーが直面するサイバー犯罪の増加と家族に推奨するセキュリティ対策について伝えた。
これは同社が公開したセーフテックレポート「(PDF) Avast Safe Tech Report」の概要を解説したもので、高齢者特有の問題点や接し方を伝えている。
高齢のオンラインユーザーの特徴
一般的に人は高齢になると頑固(保守的)になる傾向が強まると言われている。これは体験の蓄積が変化への抵抗感を生み出すことが原因とされる。
レポートによると、高齢ユーザーの危険なオンライン行動を確認した家族の約84%は注意を促したが、その注意によって行動を改めた高齢者は半数(約53%)にとどまったという。頑固なことが被害を助長するとは限らないが、高齢ユーザーの約59%はサイバー犯罪の被害に遭ったことがあり、以下の詐欺被害に遭いやすいと指摘されている。
- テクニカルサポート詐欺:偽の警告画面を介して攻撃者に連絡させ、サポート料金をだまし取る
- フィッシング詐欺:有名ブランドや金融機関になりすましてメッセージを送信し、さまざまなサイバー攻撃を行う
- 祖父母詐欺:孫になりすまして緊急の支援を求める詐欺
セキュリティ対策のアップデート
高齢ユーザーは基本的なセキュリティ対策が遅れている可能性がある。レポートによると、パスワードを紙に書き留めている高齢ユーザーの割合は約52%と半数が該当し、加えてパスワードの再利用(約23%)、メモやドキュメントに保存(約14%)、テキストやメールに保存(約9%)など一般的に危険とされるパスワード管理を採用しているユーザーが比較的多いという。
この傾向は場所や地域を問わず世界共通で、日本も約44%の高齢ユーザーが紙でパスワードを管理していることが報告されている。
家族への推奨事項
「大丈夫」と言い張る高齢ユーザーに対し、一方的な話し合いでセキュリティ対策を求めることは難しいと考えられる。Avastはそのような高齢ユーザーを抱える家族に対し、取り組みやすく繰り返し実行できる習慣から改善することを推奨している。具体的な対策は次のとおり。
- パスワード管理の習慣を強化する。個々のアカウントに異なる長いパスワードを設定するように促す。このときパスワードに個人情報が含まれないように注意する。可能であればパスワードマネージャーの利用を検討する
- 危険信号を見抜く。銀行、医療、テクニカルサポートに偽装するフィッシングメールやメッセージ、電話に注意する。この攻撃では緊急性や緊迫感を作り出すことを教える
- 一般的なオンライン詐欺について教える。フィッシング、テクニカルサポート詐欺に加え、ロマンス詐欺、架空請求詐欺(祖父母詐欺)、偽のソフトウェアアップデート、医療関連の詐欺など高齢者を主な標的とする詐欺について話をする
- セキュリティソリューションを導入し、安全なWebブラウザの利用を促す。これらソフトウェアは常に最新の状態に保たれるようにする
- 疑わしいメールやメッセージを受信した場合に、信頼できる人物に相談できる体制を作る
Avastはドアにカギをかけるのと同じように、習慣付けることが重要なポイントと指摘している。一度限りのレッスンで終わらず毎日の習慣として取り組むことで、セキュリティ対策が習慣として身につくようになる。簡単なことではないが、増大を続けるサイバー攻撃の脅威から高齢者を保護するため、家族にも継続的な取り組みが求められている。