電子認証サービスを展開するGMOグローバルサインは7月4日、次世代セキュリティ技術として注目が集まる「耐量子計算器暗号(PQC)に対応したテスト用電子証明書の発行を開始したことを発表した。

  • PQC対応電子証明書のテスト発行開始

    PQC対応電子証明書のテスト発行開始が発表された(出所:GMOグローバルサイン)

近年では、GoogleやIBMなどのグローバルテック企業をはじめ、中国を含む各国政府も量子コンピュータ開発に巨額の投資を行っており、従来のコンピュータでは数千年規模の時間を要する計算をわずか数分で処理できる“量子超越性”の実証が相次ぐなど、実用化への歩みが進んでいる。これにより、現在のインターネットや業務システムで広く利用されているRSAやECCなどの公開鍵暗号は、量子コンピュータによって数年以内に破られる可能性が現実味を帯びてきている。

そうした背景を受け、GMOインターネットグループの一員であるGMOグローバルサイン・ホールディングスの連結企業群として、電子認証サービスを展開するGMOグローバルサインは、次世代の安全基盤構築を見据え、量子コンピュータでも解読困難な“PQC”に対応したテスト用電子証明書の発行を開始することを発表。この取り組みは、官公庁や金融、製造、医療など機密性の高いデータを扱う分野を中心に、将来的なセキュリティ脅威への備えを支援するという。

なお今回の取り組みでは、PQC対応のML-DSA署名アルゴリズムを用いた階層モデルのプライベートCAによって証明書を発行するとのこと。ML-DSAとは、多変数方程式と格子暗号をもとにした耐量子電子署名方式のことで、量子時代に対応する安全な暗号技術として期待が高まっている。また今回のテスト用電子証明書としては、SSLサーバ証明書・S/MINE証明書・クライアント証明書・署名用証明書が発行可能だとしている。

GMOグローバルサインは今後の展望として、将来的なPQC対応電子証明書の正式提供に向け、量子時代の電子認証インフラ構築に取り組んでいくとする。また国際的な標準化団体との連携を通じ、グローバルなPQC対応の推進にも貢献していくとした。