1万円札が10枚以内であれば、店員と一緒に指折り数えるおつりの紙幣をカウントする。銀行で100枚を取り扱う場合は複数回数えたり、紙幣計算機で数えたりと双方が慎重に合意のもとカウントする。では、立方体のガラス張りのキューブのなかの100万ドルなら?

シカゴ連邦準備銀行のMoney Museumに公式展示されているオブジェクト「100万ドルキューブ」は1ドル札で100万枚が入っていると説明されているが、プログラマーCalvin Liang(カルビン・リャン)さんは、「I don’t trust signs. I trust counting.」(私は信用しません。数えることを信用します)とこの巨大なオブジェのなかにあるお金のカウントを試みる。その様子を自身のブログに投稿している。

果敢にも最初はミュージアムのなかで目視で束を数えようとしたCalvin Liangさんは、周囲の不審な目を感じて方法を変える。なにかいいアプリやソフトは無いものか?と探してみるがなかなか見つからない。GitHub内に自身のリポジトリを持つCalvin-LLさん。そこはツールを自作して取り組むことになる。Dot Counterは、写真などの静止画をアップしてクリックした点がカウントされるというシンプルなもの。

  • The Fed says this is a cube of $1 million. They're off by half a million.Trust me, I counted.

どういうわけかこんなアプリが存在していないと作った当人も驚いているが、作ろうとした目的がビジネスやお金ではなく、純粋に目の前に起きた好奇心に起因しているからだ。最初から汎用性のあるものを作ろうとするのではなく、目の前に起きた好奇心を解くためのツールが気付いたら意外に汎用性がある。あたかも、木から落ちるリンゴから汎用的な万有引力(universal gravitation)を発見するニュートンのような好奇心。

いくら好奇心がまさってもキューブを叩き割わって数えるわけにはいかない。表面からしか数えられない立方体であるため、カウントの結果や考察は公式ブログに掲載しているが、想像以上に多くの紙幣が詰まっていることになるようだ。