Windows Centralは7月1日(現地時間)、「Don't buy into Microsoft's "Windows 11 PCs are up to 2.3x faster than Windows 10 PCs" claim - Here's why it's stretching the truth」において、Microsoftが公表した「Windows 11 PCはWindows 10 PCよりも2.3倍高速」というベンチマークを安易に信じないよう呼び掛けた。

Microsoftのベンチマークはハードウェア性能の差によって誇張されており、OSの性能だけであればそこまで優位な差はないという。

  • Don't buy into Microsoft's "Windows 11 PCs are up to 2.3x faster than Windows 10 PCs" claim - Here's why it's stretching the truth|Windows Central

    Don't buy into Microsoft's "Windows 11 PCs are up to 2.3x faster than Windows 10 PCs" claim - Here's why it's stretching the truth|Windows Central

Microsoftが「Windows 11 PCはWindows 10 PCより最大2.3倍高速」と発表

Windows Centralが指摘しているのは、Microsoftが2025年6月30日に発表した、Windows 11搭載PCとWindows 10搭載PCのパフォーマンス比較結果だ。この中でMicrosoftは、Geekbench 6を用いたベンチマークを根拠として、「Windows 11 PCはWindows 10 PCより最大2.3倍高速」だと主張した。

加えて、バッテリーの寿命、Webブラウジングのパフォーマンス、そしてMicrosoft Officeの生産性でも、Windows 11 PCがWindows 10 PCを上回ったと説明している(関連記事:Windows 11は10よりも2.3倍高速、Microsoftが比較結果公表 | TECH+(テックプラス))。

ベンチマーク実施のハードウェアに性能差が

しかし、Windows Centralが指摘するように、Microsoftが提示したこの数字にはトリックがある。Geekbench 6を使った同社のベンチマークは、Windows 10には第6世代(2015年発売)、第8世代(2017年)、第10世代(2020年)のIntelプロセッサ搭載PCを使っているのに対し、Windows 11では第12世代(2021年)および第13世代(2022年)のIntelプロセッサ搭載PCを使っている。

発売日が最大7年も離れていれば、ハードウェア性能の差が結果に大きく影響するのは当然だ。Microsoftもその点は認めており、検証に使用したPCの種類を明確にした上で、「パフォーマンスは、デバイスや設定、使用状況、その他の要因によって大きく異なります」と注意書きしている。

同一の性能のPCでベンチマークができない理由

同一性能のPCを使えない最大の理由は、Windows 11のハードウェア要件にある。Windows 11はハードウェア要件が厳しいので、古い世代のPCにはインストールできないからだ。

しかし、「Windows 10を新世代のPCにインストールするのは問題ないはず」とWindows Centralは指摘している。例えば、第13世代プロセッサのPCにWindows 10をインストールして比較することもできたはずだ。一方で、第8世代のPCでもWindows 11が動く機種も存在する。

検証に使用した環境を公表しているとは言っても、あえて不公平なハードウェア条件で行ったベンチマークに対して、「2.3倍」という数値を大々的に宣伝するのは誠実とは言えないかもしれない。

いずれにしても、Microsoftの狙いが、あくまでもWindows 11への移行促進にあるという点には注意が必要だ。同社は、PCがWindows 11の要件を満たしていないのであれば、より高性能な新しいPCへ買い替えることを推奨している。この点では、今回の性能比較は的を射ている。

一方で、Windows 11の要件を満たしていながら、Windows 10にとどまる選択をしているユーザーもいる。そのようなユーザーに移行を促すには、性能比較以外の強いアピールが必要だろう。