Mozillaは6月23日(現地時間)、「Your data, your rules: Firefox’s privacy-first AI features you can trust」において、Webブラウザ「Firefox」に最近導入された新しいAI機能について紹介した。
これらのAI機能は、ユーザーのプライバシーを重視しながらブラウジング体験を向上させることを目的としており、Mozillaではデータを外部に送信しない点を強調している。
AIによる支援機能をローカルで完結して提供
Mozillaは近年、AIを利用したFirefoxの機能拡張に力を注いでいる。AIを最大限に活用することで、ユーザーのブラウジング体験の飛躍的な向上が期待できる。しかし、Mozillaが重視しているのはユーザーのプライバシーだ。
FirefoxのAI機能では、機密データはローカルに保持し、AIモデルもデバイス上で直接実行する。これによって、データを外部に送信することなく、プライバシーを保護しながらAIのパワーを最大限に活用できる。
FirefoxでAIを活用している事例の一つが、PDF内の画像に自動で代替テキストを生成する機能だ。この機能では、PDFに追加した画像に対して、AIがどんな画像なのかを解析し自動的に代替テキストを挿入してくれる。これによりより視覚障がい者にも読みやすいPDFを自動で作成できる。
タブグループ機能にもAIを活用
翻訳機能も強化した。ページ全体や選択範囲を即座に翻訳できる機能を提供しているが、こちらもテキストを外部サーバーに送らず、すべてローカルで処理するという点が特徴的である。海外サイトの閲覧が多いユーザーにとって、大きな利便性向上をもたらすはずだ。
タブグループ機能にもAIを活用している。開いているタブの類似性を見極め、適切なグループ名を推奨したり、関連するタブをまとめる提案を行ったりする。ユーザーは複数のタブを効率的に整理・活用することが可能となる。
最新の実験的な機能としてはリンクプレビュー機能がある。ユーザーがリンク先を開かなくても、AIが記事の要点を抽出してプレビュー表示する。プレビューには、リンク先のタイトル、概要、画像、読書時間、AIが自動生成した3つのキーポイントが含まれる。プレビューコンテンツの作成処理は端末上で完結し、外部にデータを送信することはない。
選択性と透明性をとくに重視
Mozillaでは、ユーザーに本当の意味での選択性と透明性の提供を最も重視すると強調している。例えば、他のWebブラウザと同様にFirefoxでもサイドバーでAIチャットボットを利用できるが、特定のAIチャットボットを強制することはなく、ユーザー自身が好みのプロバイダーを選んで自由に切り替えることが可能である。インストールしたAIモデルも、必要に応じて自由にデバイスから削除できる。
Firefoxにとって、AIは個人のデータを守りながら生産性と快適さを両立する手段であり、プライバシーを犠牲にする必要はないというのがMozillaの理念だという。Mozillaでは今後も、Firefoxを信頼できるデジタル コンパニオンとして進化させるために、AIソリューションへの投資を続けていくという。