東京地下鉄(東京メトロ)、鉄道総合技術研究所(鉄道総研)、日立製作所(日立)、三菱電機、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)の5者は6月18日、5G(第5世代移動通信システム)を活用して地下のトンネル内や地上の線路内等に設置された地上設備と列車間での通信を実現する実証実験を実施し、有用性を確認したことを発表した。

実証の概要

今回の実証試験では、パブリック(公衆網)とローカル(自営網)の5Gを用いて、FRMCS(Future Railway Mobile Communication System)を参照した鉄道用通信基盤のプロトタイプを東京メトロのフィールド内に構築。汎用性の高い5Gを活用した鉄道用通信基盤の実現と、鉄道用通信基盤システム共通仕様(案)の作成および標準化活動を目的に試験を実施した。

試験区間は東京メトロ丸ノ内線の新大塚~後楽園駅間。鉄道の各種システムを想定した5G通信の実用性を2024年8月から2025年3月にかけて検証した。試験の結果から、通信の安定性により各種鉄道システムが問題なく機能し、5Gと鉄道用通信基盤の有用性が確認されたという。

  • 試験区間

    試験区間

  • 試験の構成

    試験の構成

今後の展望

5社は今回の実証試験を通じて、5Gを用いた鉄道用通信基盤の有効性が確認されたため、試験結果や仕様案などを業界団体が主催している鉄道用の通信基盤の構築や5G活用などの共通化に向けた活動へ提供する。

汎用性が高い5G技術を鉄道システムへ活用できるようにすることで、鉄道の維持管理コストの低減が期待できる。都市圏をはじめ地方路線においても鉄道事業運営の持続可能性を高め、沿線価値および沿線住民の利便性の維持と向上に貢献するという。

さらには、国際標準化への提案などにより、国際的プロジェクトへの参入時のハードルを引き下げ、海外鉄道ビジネスの展開にも貢献するとのことだ。