Gallupは6月16日(米国時間)、「AI Use at Work Has Nearly Doubled in Two Years」において、過去2年間におけるAIの利用状況に関する調査レポートを公開した。この2年間でAI利用は倍増したが、役立っているという回答は16%に過ぎず、企業のサポート体制の重要性が明らかになったという。

  • AI Use at Work Has Nearly Doubled in Two Years

    AI Use at Work Has Nearly Doubled in Two Years

業界ごとに異なる推移と就業率への影響

この調査は米国内の従業員を対象に実施されたもの。その結果、職務でAIを数回以上使用したと回答した従業員の割合は2年前の21%から40%へと増加したことがわかった。条件を「週に数回以上使用」や「毎日使用」に変更した場合においても、それぞれ約2倍に増加したという。

このように全体平均では増加傾向にあるが、業界ごとの統計では異なる実態も判明している。テクノロジー業界では約50%の従業員が頻繁に使用していると回答したのに対し、生産現場では2年前の約11%から9%へと減少したという。

就業率への影響については、多くの従業員がAIに仕事を奪われることはないと考えている実態が浮き彫りになった。生産現場の従業員のうち、5年以内にAIに仕事を奪われると回答した割合は約15%で2年前とほぼ変わらず、使用頻度の多いテクノロジー業界においても約21%と、半数を下回る結果となっている。

AIの有効活用には企業のサポートが必要

AIの使用回数が倍増していることから評価も高いと考えたいところだが、報告によるとAIが役立っていると回答した従業員はわずか16%程度となった。多くの従業員は「ユースケースや価値提案が不明瞭」と指摘し、導入のメリットを感じていないという。

また、有用性に関する認識において、使用経験の有無が影響することも明らかになっている。使用経験のある従業員の68%は顧客との対話にAIがプラスの影響を与えたと回答したのに対し、使用経験のない従業員でプラスの可能性を回答したのは13%とされる。

これは経験することで初めてAIの有用性を認識できることを意味しており、AI導入時には使用方法の教育だけではなく、実際に体験させることの重要性を示している。企業がAIを導入して業務効率の改善を目指す場合、従業員への継続した教育およびサポート体制の構築が必要になる。

生産現場について評価することは難しいが、少なくとも導入の進むテクノロジー業界などでは適切に導入できるか否かがその後の成長のカギになる可能性がある。経営者には、導入して安心するのではなく、多くの従業員が有効活用できるように社内のサポート体制も合わせて構築することが望まれている。