UiPathは6月12日、エージェンティックオートメーションを実現するプラットフォーム「UiPath Platform for Agentic Automation」の国内提供開始を発表した。同製品は、AIエージェントとロボット、そして人を一つのインテリジェントシステムに統合するもの。
エージェンティックオートメーションに取り組む第2章の始まり
初めに、米UiPath 製品戦略バイスプレジデント フェイラン・ハオ氏が、エージェンティックオートメーションに関する戦略について説明した。
UiPathといえば、「RPAの会社」というイメージを持っている人も多いだろう。ハオ氏は、創業してから10年を「Act 1」と表し、「当社は自動化の会社として始まり、コンピュータの小さな操作の自動化にフォーカスしていた。エンドツーエンドの自動化のプラットフォームを構築した」と語った。
同社はアクティビティ、ワークフロー、プロセスと自動化の対象を拡大し、ここにきて、第2章「Act 2」として、エージェンティックオートメーションに取り組む。
「ChatGPTが登場し、生成AIをどう使えるかを考えるようになった。ただし、ChatGPTに質問して回答はもらえるが、回答結果を実行してもらうことは難しい。自動化の世界に、人間とロボットに加えて、AIエージェントが入ってきた。これからの課題はこの3つのオーケストレーションをどうするかとなる」(ハオ氏)
ハオ氏は、「Act 1」「Act 2」のどちらかを選ぶわけではなく、それぞれの機能を組み合わせて自動化を実現すると語った。「ロボットがアクションを実行しないとエージェントは実現できないし、AI単体で機能してはいけないものもある。だから、エージェントとロボットは一緒に動く。一貫性が必要だ」(同氏)
エージェントとロボットの一貫性、UIとAPIの自動化、ローコードによるエージェントの開発、これらを実現するプラットフォームとして具現化されたものが「UiPath Platform for Agentic Automation」となる。
UiPath Platform for Agentic Automationの主要製品・機能
続いて、UiPath プロダクトマーケティング部部長 夏目健氏が新製品について説明を行った。
UiPath Agent Builder
UiPath Agent Builderは、エージェントを構築するための製品。同製品は4000以上のプレビューの登録があり、2200以上のエージェントが作成されているという。
具体的には、同製品では、ローコードによりエージェントを構築・評価・公開できる。また、UiPathAgentCatalogに登録されているエージェントのカスタマイズが行えるほか、AutopilotとAgent Scoreにより推奨アクションを提供する。
エージェントを作成する際は、プロンプトの利用とスクラッチの2つの方法を利用できる。スクラッチで作る際は、Autopilotが自然言語によって支援をしてくれる。
作成したエージェントはスコアによって精度が表示され、さらに、改善策も提示される。夏目氏は「目標は安心して安定してビジネスで使えるエージェントを作ること」と語っていた。
UiPath Maestro
UiPath Maestroは、エージェントのオーケストレーションを行う製品。AIエージェント、ロボット、人を組み合わせた業務フローのデザイン・実装・運用・可視化する。
同社のオーケストレーションの特徴はサードパーティのツールで作ったエージェントも管理できる点だ。エージェントの連携のプロトコルとして、Agent2Agent(A2A)、Model Context Protocol(MCP)の策定が進められているが、同社はGoogle CloudとA2Aにおいてパートナーシップを結んだという。
夏目氏は「UiPath Platform for Agentic AutomationをA2AやMCPに準拠した形で提供し、オープンなプラットフォームを目指す」と述べた。
UiPath Healing Agent
UiPath Healing Agentは、自動的に問題を分析して解決策を提示して解決する自己修復機能。今回、国内提供が開始された。
Webアプリケーション、デスクトップアプリケーション、仮想環境(Citrix、VMware)にも対応している。
UiPath API Workflows
UiPath API WorkflowsはAPI統合およびデータ操作に最適化されたワークフロー製品。今月にPublic Previewが開始される予定だ。
従来、ロボットを介してワークフローの処理を行っていたところ、ロボットを介さずにAPI連携のワークフローを構築することが可能になる。夏目氏は「オーバーヘッドがなくなるので、パフォーマンスが上がる」と説明した。
Agentic UI Automation
Agentic UI Automationは、LAM活用によりUIの変化に対応した画面要素の認識機能。自然言語ベースのエージェントでユーザーの意図を理解し、複数のステップを踏むタスクを計画し、インターフェイス全体のアクションを自律的に実行する。Private Previewが実施されている。
UiPath IXP(Intelligent Xtraction & Processing)
UiPath IXP(Intelligent Xtraction & Processing)は、非定型データに対し、マルチモーダルでAIをベースとした分類および抽出機能を提供する。
専用モデルを活用することで導入までの時間を短縮するほか、複数のモデルの組み合わせによるパフォーマンスを向上する。今年第2四半期に提供開始予定。
UiPath Data Fabric
UiPath Data Fabricは、ノーコードでデータモデリングが行える機能。UiPathのデータと外部のデータストア、業務アプリケーション、データベースと統合する。
昨今、データが分散されているため共有に問題が生じているが、同機能は分散されているデータを合わせたモデルを構築することが可能。
作成したデータモデルはアプリ、エージェント、APIワークフロー、プロセス全体で再利用が可能で、統合されたモデルを使いやすくするという。